★★★☆☆
あらすじ
一匹狼のギャンブラーは、とある因縁から国際的な賭博師グループと対決することになっていく。
黒い賭博師シリーズ第6作目。86分。
感想
まずはオープニング後のタイトルクレジットで流れる小林旭が歌う「賭博唱歌」が強烈だ。「自動車ショー歌」の歌詞を、賭博用語に置き換えたものなのだが、独特の歌い方でクセになる。
本人がこれをカッコいいものとして歌っているのか、それとも面白いものとしてやっているのかがよく分からないところに彼の得体の知れなさがある。おかげでこれまであまりピンと来ていなかった「自動車ショー歌」の良さにもようやく気付けたような気がする。
ギャンブラーの主人公が、国際的な賭博師集団と対決する物語だ。最初の戦いで主人公は、イカサマを見抜けず惨敗してしまうのだが、相手は急に照明を強くしたり、片眼鏡を使いはじめたりと怪しさが満開だったので、気付いても良さそうなものだった。あまりにあからさまだったので、かえって疑いづらかったのかもしれないが。
その後、軍資金を稼ぐために主人公が様々なギャンブルをやる様子が描かれていく。その中のひとつ、競馬場でのシーンは興味深かった。ゲリラ撮影をしているのか、主人公やヒロインの周囲を行き交う人たちが、何やってんだこいつら?みたいな訝しげな顔をして、彼らを一瞬まじまじと見つめてから通り過ぎていく。不思議な空気が漂う面白い映像だった。
その後は、活劇あり、ロマンスあり、サスペンスありでエンタメ作品らしい展開を見せる。クライマックスの一連のギャンブルシーンも、なんでそんなことが出来るのか理由がよく分からないのが玉に瑕だが、緊張感があって見応えのあるものになっている。筒でサイコロを操るシーンなどは、つい真似したくなる。
その後の雑で荒っぽいアクションもなんだか可笑しくて、最後まで気楽に楽しめる娯楽作品だ。
スタッフ/キャスト
監督 中平康
出演 小林旭/冨士真奈美/小池朝雄/益田喜頓/谷村昌彦/野呂圭介/加藤芳郎
音楽 伊部晴美
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