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「今日も嫌がらせ弁当」 2019

今日も嫌がらせ弁当

★★☆☆☆

 

あらすじ

 会話がなくなった反抗期の娘のために、毎日嫌がらせのキャラ弁を作る母親。

今日も嫌がらせ弁当

 

感想

 やっぱりキャラ弁ネタだけで映画を作るのは厳しかったなと言うのが素直な気持ちだ。嫌がらせのキャラ弁自体は面白いと思うのだが、見て楽しんで終わり、みたいなところがあって、それだけではそんなに時間がもたない。だから写真で見るぐらいがちょうど良いのだが、それを映画にするならどれだけ話を膨らませることが出来るかが腕の見せどころだろう。

 

 でも大して話を膨らますことが出来ていない。キャラ弁の作り方やネタが尽きて困る様子には多少触れていたが、もうちょっとしっかり描くべきだったような気がする。そもそも篠原涼子演じる母親が、なんでそんなに上手にキャラ弁が作れるのかは描かれていないので分からない。彼女が色んなテクニックを身に着けていく過程とか、思い描いた弁当を作るために苦労する様子などもちゃんと見せて欲しかった。それから一切、味については触れていないのも謎だった。触れたところで美味しいとかマズいくらいしか言えないだろうとは思うが、一度くらいはちゃんと言及してくれないと気になってしまう。

 

 

 物語のメインは片親の母親と反抗期の娘の親子関係で、嫌がらせ弁当はそのちょっとしたエピソードの一つのような扱い。しかし娘の一本調子なキャラクターは、演じる芳根京子が可哀相なくらいだった。反抗期だから基本的には親に対してブスッとした態度を取るというのは分からなくはないのだが、それでも多感な時期の高校三年間を描いているのだから、もうちょっと思春期らしい感情の揺れや変化を描いてくれないと不自然に思えてしまう。

 

 そして上手くコミュニケーションが取れない親子関係の描き方もまた一本調子。二人の距離感が近くなったり遠ざかったりする動きがほとんど無いので、物語的につまらない。これはきっとキャラ弁をメインの題材にしていることが仇になっていて、母親はキャラ弁を毎日作っているのだから、そして娘はそれを毎日しっかり食べているのだから、二人の間にはちゃんと親子の絆があるに決まっていて、それをわざわざ他で分かる形で描写する必要はない、という事になってしまっているからだろう。

 

 こんなことなら逆に、激しい親子喧嘩などをしながらも、毎日何の変哲もない普通の弁当を渡す様子だけはさりげなく見せておいて、最後に反抗期で色々あったけど毎日美味しいお弁当を作ってくれてありがとう、という形にしてくれた方が感動したかもしれない。反抗期の娘に毎日嫌がらせ弁当を作った話、と言われてしまうと、もうそれだけで話は終わってしまっているような気がする。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 塚本連平

 

原作 今日も嫌がらせ弁当


出演 篠原涼子/芳根京子/松井玲奈/佐藤寛太/スギちゃん/小島よしお/日本エレキテル連合/ダンディ坂野/村上知子/佐藤隆太/岡田義徳

 

今日も嫌がらせ弁当 - Wikipedia

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