★★★★☆
あらすじ
ローマ教皇が死去し、新たな教皇選出選挙「コンクラーベ」」を執り行うため、続々と枢機卿たちが集まり、主席枢機卿はその準備に奔走する。
レイフ・ファインズ主演、スタンリー・トゥッチ、ジョン・リスゴーら出演。原題は「Conclave」120分。
感想
教皇選挙の内幕を描く物語で、それを執り行う主席枢機卿が主人公だ。無事に選挙が終えられるようにと心を砕きつつ、自身の望んだ結果が得られるかと気を揉む様子が描かれていく。
カトリックの偉い人たちの話なので、さぞやクソ真面目な内容なのだろうと思っていたが、それぞれの思惑が渦巻く普通にドロドロとした人間ドラマだった。彼らも人の子だ。
他の枢機卿に事前にワイロで根回しし、ライバルを蹴落とすための陰謀を巡らす者もいれば、皆が推すのであればと消極的な態度だったのに、いざ選挙が始まると野心を剥き出しにする者など、様々な人間模様が見られて面白い。
そんな中で、彼らの一人が言っていた「教皇になりたがるような奴にロクなやつはいない」という言葉には深く肯いてしまう。そういう人間は大抵エゴが強いだけの目立ちたがり屋で、大抵明らかに実力が見合っていない。逆に適任に思える人に限って、自分なんてとんでもないと隅の方で恐縮していたりする。
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この矛盾は、政治の世界から会社、小さな集まりに至るまで、あらゆる組織で見られる現象だ。そして機能不全に陥る原因になっている。頭が痛い問題だ。
様々な問題が発生し、主人公の苦悩は増していく。だが選挙を執り行う立場にいながら、割と自らの主張をしっかりとするのだなというのが素直な感想だ。特定の人に投票を促すようなスピーチをしたりするのは意外だった。また、疑惑の調査も独断によるもので、このあたりは特殊な世界ならではのものなのかもしれない。
ただ、死んだ教皇の遺品を見て思わず涙を流すシーンには、彼の真摯さや誠実さがよく表れていて、信頼できる人間であることが伝わってくる。
何度も繰り返される投票の合間に起きる出来事により、選挙の情勢は少しずつ変化していく。その中で主人公も何度か意思を変える。予想していた結果に落ち着くのかと思いきや、更にもう一つ展開があり、そこに驚きの事実も隠されていた。
ヤクザの跡目争いと同じと言えば同じなのだが、時おり神の意志が感じられるような現象が起き、選挙の行方を暗示する演出が秀逸だ。劇伴も良い。静かな権力闘争に目が離せない映画だ。
また今年、ローマ教皇が死去して、現実世界でも教皇選挙が行われたが、一部の枢機卿たちがその予習としてこの映画を見ていたというのは、なかなか面白いエピソードだ。
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スタッフ/キャスト
監督/製作総指揮 エドワード・ベルガー
脚本 ピーター・ストローハン
原作 Conclave: A novel (English Edition)
製作総指揮 トーマス・アルフレッドソン/スティーヴン・レイルズ/グレン・バスナー/アリソン・コーエン/ミラン・ポペルカ/ベン・ブラウニング/レン・ブラバトニック/ダニー・コーエン
製作総指揮/出演 レイフ・ファインズ
出演 スタンリー・トゥッチ/ジョン・リスゴー/イザベラ・ロッセリーニ/カルロス・ディエス/メラーブ・ニニッゼ
音楽 フォルカー・ベルテルマン
