★★☆☆☆
あらすじ
フライト中に一部の乗客が忽然と姿を消すという異常事態に対処しようとするパイロット。
感想
ニコラス・ケイジ演じるパイロットの主人公が誕生日にロンドンで不倫デートを予定していたり、お祝いのためにサプライズで帰省した娘が落ち込んだりと、ちょっとした出来事は起こるが、物語の核になりそうな大きな事件は起きる気配がないまま、序盤は過ぎていく。
予備知識がないまま見始めたので、これは何の映画?と不安になり始めた頃に突然、何の前触れもなく事件が起きた。忽然と飛行機の乗客の一部が姿を消す。誰かに連れ去られたとかではなく、荷物や衣服は残して肉体だけが消え去る。
あまりにも非現実的で、しばらくは何が起きたか誰も理解できず呆然としそうなものなのに、ここからが凄い。子どもが消失した瞬間に母親は泣き叫び、残った他の乗客も一瞬でパニックになって操縦室に押し寄せる。実は地上でも同じようなことが起きていて、すぐに略奪や暴行が繰り広げられる無法地帯と化してしまう。皆のあまりにもハイレベルな状況把握能力に驚愕して、人間が消失したという当初の驚きが吹っ飛んでしまった。
そもそもパニックになったり暴動を起こすよりも、消失した理由を知りたいと思いそうなものだが、意外と誰もそこは気にしていないのが不思議だ。しかも、主人公はあっさりとその理由を見つけてしまう。その理由は、神を信じている人間だけが天国に連れていかれた、というもの。は?何だそれ?というのが素直な感想だ。
確かに序盤から宗教臭い話が頻出していたが、だからと言って全然そんな理由に納得なんかできない。それをあっさりと受け入れてしまう登場人物たちにイライラしてしまった。しかし、信心深い人が天国に行くのはいいとして、子どもはもれなく天国に行っているのが、人は生まれつき神様を信じていると決めつけているようでやらしい。しかも、信心深い人がいなくなった世の中は悪事を働く人間ばかりだという事にもなっていて、宗教や信者の傲慢さが鼻につく。
そんな納得できない状況では、何が起ころうが全く心は動かない。結局、関心のない人にはさっぱり共感できないアクション宗教映画だった。それでどんなヤバいカルト宗教に勧誘されているのかと思ったが、一般的なキリスト教だったのが驚きだ。しかも劇中に登場する熱心な信者たちはヤバい人扱いされていたので、正直、信者獲得には逆効果になってしまっているような気がする。
しかし、こんな虚無を感じる映画を見せられたら「神はいないのか…」と絶望してしまうのでやめて欲しい。
スタッフ/キャスト
監督 ヴィク・アームストロング
原作 レフトビハインド
出演 ニコラス・ケイジ/チャド・マイケル・マーレイ/キャシー・トムソン/ジョーダン・スパークス/リー・トンプソン/ゲイリー・グラッブス
撮影 ジャック・N・グリーン
レフト・ビハインド (2014年の映画) - Wikipedia
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