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「リリーのすべて」 2015

リリーのすべて (字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 画家の妻のため、来られなくなった女性モデルの代理を急遽務めた男は、女装に執着するようになり、次第に本当の自分に気付いていく。

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 世界初の性別適合手術を受けたリリー・エルベを題材とした事実を基にした物語。トム・フーバー監督。出演のアリシア・ヴィキャンデルはアカデミー賞助演女優賞受賞。119分。

リリー・エルベ - Wikipedia

 

感想

 共に画家の夫婦を描いた物語だ。妻の絵のモデルの代役を務めるために女装したのをきっかけに、夫が女性として暮らすようになっていく。序盤にストッキングをはいた夫が、自分の姿にうっとりするシーンは印象的だ。

 

 だが最初は、女装にのめり込んでいく夫を見て妻も面白がっており、それを含めてどういうことなのか、理解し難かった。単なる女装趣味なのか、倒錯した性的嗜好なのか、あるいはアブノーマルな非日常を楽しんでいるだけなのか。おそらく彼らもよく分かっておらず、だから一種の「ゲーム」ということでお互いを納得させていたのだろう。

 

 

 だがそれが夫にとって「ゲーム」ではなかったことが徐々に明らかになってくる。夫は偶然にも本当の自分をさらけ出すことが出来たと嬉しかっただろうが、妻にとっては戸惑いしかない。次第に女性の「リリー」として振る舞うようになっていく夫に、どうしていいのか分からなくなる。それに彼女が、「リリー」をモデルにした絵で評価されるようになったのも皮肉だ。彼女の中では複雑な感情が渦巻いている。

 

 ただ本当の自分に気付き、それしか見えなくなった夫を見ていると、世間にはいろいろ言う人がいるが、本人がやりたいことを止めることは出来ないし、やらせてあげるのが最善のように思える。力づくで止めたりしたら、本人は勿論、自分を偽る当人と付き合う周りの人間も不幸になってしまう。世の中には化粧をする人がいて整形する人もたくさんいるのだから、本人が望むならそれ以上のことをしたっていいじゃないかと思える。

 

 本当の自分になるためにひたすら突き進む夫に対しては、そうなんだろうなと思う以上のことは特にないのだが、それでも彼をサポートする妻や友人には心を動かされる。特に妻なんて想像もしていなかった事態のはずだが、それでも夫の望みが叶うようにと支えている。

 

 もはやそのことしか頭にない夫が、妻に「早く幸せになりたい」と言うシーンがある。妻からしたら今までの結婚生活は幸せではなかったのかと傷ついたはずだ。彼女がどんな心境で彼のそばにいたのかと、色々と考えてしまう。

 

 それから女性になることを望んだ夫が、絵を描くことを止めてしまったのは興味深い。心の抑圧が絵を描くことに走らせていたが、それがなくなったら違うものに関心がいくようになったということだろうか。

 

 そう考えると、世の人々の言動はかなりの割合で、「自分らしく生きる」ことが出来ないことに対する反動からきているものだったりするのかもしれないなと思ったりした。それが芸術を生んだり、ヘイトに走らせたりしながら世界は動いている。

「異性愛者のゲイへの嫌悪感は同族嫌悪に近い」 リンクトイン村上臣が差別問題を語る | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

 

 

スタッフ/キャスト

監督/製作 トム・フーパー

 

脚本 ルシンダ・コクソン

 

原作 リリーのすべて (ハヤカワ文庫NV)


出演 エディ・レッドメイン/アリシア・ヴィキャンデル/マティアス・スーナールツ/ベン・ウィショー/セバスチャン・コッホ/アンバー・ハード/エメラルド・フェネル

 

リリーのすべて (字幕版)

リリーのすべて (字幕版)

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リリーのすべて - Wikipedia

 

 

登場する人物

リリー・エルベ/ゲルダ・ヴェイナー

 

 

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