★★★★☆
あらすじ
事故がきっかけで自身の未来予知能力に気付いた救命士の女は、電車内に居合わせた三人の少女を助ける。
ダコタ・ジョンソン主演。「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」(SSU)第4作目。116分。
感想
生まれた時に母親を失い、身寄りのない救命士の女が主人公だ。仕事熱心だが人付き合いは苦手で、一人で過ごすことを好む。人気者でも、人気者になりたいわけでもなく、かといって独善的でもない。この手の映画ではなかなか珍しいキャラクターで魅力的だ。
そんな彼女が、未来予知の能力に目覚めて三人の年頃の少女を助け、共に行動することになる。生意気な少女たちに戸惑いつつ、それでも大人の責任を果たそうとする姿もまたいい。主人公が自身の能力に気付き、その責任を自覚して敵と対峙するようになるまでが、丁寧に描かれていく。
主人公の能力は未来予知だけのようなので、敵の攻撃を読み、少女たちに「止まって!」とか「伏せて!」とか指示するくらいしか出来ることはない。だからクライマックスの戦いが若干地味だったのは否めないが、肉弾戦をやったところで他の映画とだいたい同じようになってしまうので、これはこれでありなような気がする。最終的にどうやって倒すのだ?というのはあるが。
考えてみれば、ありきたりになりがちという意味で格闘シーンとベッドシーンは似ている。よっぽど思い入れのある人やどうしても撮りたいカットがある人だけが撮った方がいいのかもしれない。
悪役がどんな悪いことをしているのかや、どんな成り立ちのキャラなのかが、ほとんど説明されることがなかったりと、物足りない部分はある。だが、ビヨンセの看板広告やブリトニー・スピアーズの曲が登場したりする2000年代初めの時代設定の空気感は趣があった。
それから三人の少女たちの活躍がほぼ無かったのも気になったが、それはこれからのお楽しみということで、むしろ続編への期待が高まった。おおむね楽しめたなと満足していたのに、ネットで調べたらこの映画が酷評されていることを知って驚いた。メインの客とは違う女性たちの物語だったからなのだろうか。
「マダム・ウェブ」が最低作品賞含む3冠達成(映画.com) - Yahoo!ニュース
シリーズ前作の「モービウス」も、自分的には満足していたのに世間的には酷評だったので、もうよく分からないなと思ってしまった。作る方は大変だ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 S・J・クラークソン
脚本 マット・サザマ/バーク・シャープレス/クレア・パーカー
出演 ダコタ・ジョンソン/シドニー・スウィーニー/セレステ・オコナー/イザベラ・メルセード/タハール・ラヒム/アダム・スコット/エマ・ロバーツ/ケリー・ビシェ/マイク・エップス
関連する作品
次作 「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」(SSU) 第3作