★★★★☆
あらすじ
終戦後、かつて博打を教えてくれた男と再会したことがきっかけとなり、博打の世界に本格的に足を踏み入れた学生。
イラストレーター・和田誠の初監督作品。真田広之主演。阿佐田哲也の同名小説が原作。109分。
感想
冒頭の、戦後の焼け野原の中をカメラが移動していくカットで一気に映画の世界に引き込まれる。モノクロだが、時に黒澤映画風だったり、時に大昔のハリウッド映画風だったりと、しっかりと意図を感じるものになっていて、監督の映画に対する愛情を感じる。敢えてチープに夜空に星が流れるシーンにもグッと来た。
博打の世界に入った学生の主人公が、様々な博徒と交流しながら成長していく物語だ。青臭さの残る主人公を演じる真田広之、非情で冷徹な男を演じる鹿賀丈史、図々しく押しの強い老人を演じる名古屋章など、役者陣が皆魅力的にキャラクターを演じている。
そんな中でも特に印象的だったのは、主人公とコンビを組んだベテランの男を演じる高品格だ。物静かだが老獪で、肝の据わった佇まいは、しぶとくこの世界で生き残ってきた怪物じみた得体の知れなさがあり、異様な存在感を放っていた。
持ち金どころか家の権利書から恋人まで、あらゆるものをつぎ込んでギャンブルにのめり込んでいく男たちの凄まじさに圧倒される。互いに騙し合いながらも、なんだかんで一緒にツルんでいるのも不思議で面白い。同じ生き方をする者同士の奇妙な連帯感みたいなものがあるのだろう。
またそんな中で、主人公の年上の女との恋が描かれるのも、青春映画らしくて良かった。純粋でまっすぐだった青年が色々と教えられ、現実を知る男となっていく。結果的に最後の別れとなったシーンは、大人の階段をのぼった感があった。
人が死のうがギャンブルの機会は逃さないとばかりに、そそくさと勝負の場に戻っていくラストシーンは、彼らの懲りなさに呆れながらも舌を巻く。しょうもない戦争に無理やり命を賭けさせられた彼らにとって、自分の意志で存分に賭けが出来るなんて何百倍も幸せ、といったところだろうか。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 和田誠
脚本 澤井信一郎
製作 角川春樹
出演 真田広之/鹿賀丈史/加藤健一/名古屋章/高品格/加賀まりこ/内藤陳/篠原勝之/天本英世/笹野高史
【本編】『麻雀放浪記』<2週間限定公開>- YouTube(~2/28 19:59まで)
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