★★★☆☆
内容
メールを題材にした4つの物語からなるオムニバス映画。
感想
こういったオムニバス映画は若手を集めて作る、ということが多いように感じるが、15年後の今も活躍する役者たちが多数出演していて、少なくともキャスティングに関しては間違いなかった、と言えるかもしれない。多部未華子は当時16歳くらいで、幼さが残り、まだ子供みたいだった。
4つの短編が含まれるが、真ん中二つはまずまずで、最初と最後の作品は全然ダメ、といったところ。最初と最後の作品は、安易に病気や死を扱いすぎ。特に最初の相武紗季演じる病人を、聖人のように描くのがイラっとした。不治の病で入院している若い女性は皆、無垢で純粋で天使のよう、というある意味で馬鹿にしたステレオタイプ。
そもそも、この耳が聞こえず口もきけず、しかも不治の病という謎の病気は、どんな病気のつもりなのだろうか。物語に都合の良い病気を仕立てていること自体が、腹立たしい。こういうタイプの物語は古今東西良くある話なので、一定の人たちを楽しませることが出来る物語といえるが、それだけに凡庸さが際立っていた。
最後の物語の、死んだ妻に似た女性に出会う男、というのも、とてつもなくベタな話。それでも敢えてこういう話に取り組むのなら、せめて何らかの野心を感じるものにして欲しかった。ベタなものに挑んでいるという自覚があったのかすら疑わしい。
それぞれの作品の間をメールが行き交うようにしていた、ちょっとした遊び心は面白かった。公衆電話しかなかった時代と比べたら味気なくなった、と言われたガラケーの時代でも、それなりにドラマにはなるのだな、とちょっと感心した。ということは、スマホでもそれは可能ということか。ただ、何でもかんでもスマホで用を足せてしまうので、すれ違いや勘違いは少なくなってスムーズとなり、スケールは小さくなりそうだ。
スタッフ/キャスト
「mail」
監督/脚本 清水浩
出演
相武紗季
「CHANGE THE WORLD!」
監督 伊藤裕彰
脚本 井上淳一
出演 吹石一恵/多部未華子/松尾敏伸
「アボカド納豆。」
監督 鈴木元
脚本 大森寿美男
出演 岡田義徳/大倉孝二/奥貫薫
「やさしくなれたら…」
監督 鳥井邦男
脚本 鳥井邦男 / 加藤正人
出演 北村一輝/原沙知絵/津田寛治