★★★★☆
あらすじ
憧れの実業家に婚約者がいることを知り、イケていない予備校講師をけしかけて仲を引き裂こうと画策する女子高生。
成田凌、清原果那出演、前田弘二監督。98分。
感想
自分の恋路のために利用しようとしていた予備校講師に、思いがけず惚れてしまう女子高生が主人公だ。
とりあえず予備校講師が、生徒である女子高生たちに誘われたら平気で二人きりの食事に行ってしまうことに驚いたが、今ってこんな感じなのだろうか?フィクションだからかもしれないが、あけっぴろげにやっているだけにやましいことは出来ず、逆に健全のような気もした。
世間知らずで恋愛も分かっていない数学オタクの講師に、世の中を分かったつもりの女子高生の主人公がその機微を伝授する構図になっている。おかしな構図ではあるが、普通を知りたいという講師の切実な思いと、それを指摘してくれるのは主人公だけという彼の認識が、それなりに説得力のあるものにしている。
最初は憧れの実業家の結婚を阻止するための作戦だったのに、途中で講師を好きになってしまい、実業家の婚約者と彼の恋愛が順調に進展することに嫉妬し、地団太を踏む様子がコミカルに描かれる。主人公が恋心を描く瞬間や、講師の恋愛が成就しそうな瞬間がちゃんと分るので、ストレスなく物語を見守ることができる。
そんな中で主人公の憧れの実業家を演じる小泉孝太郎がいい。この実業家は夢や理想を語りながら、裏ではコソコソと浮気をするゲスな男だ。よくある話ではあるが、金とコネさえあればだいたいのことは大丈夫、と思っていそうな金持ちのお坊ちゃんらしい態度が浮世離れした空気を生み出していて可笑しみがある。
一応は罪の意識もあるようだが、「バレたらパパに怒られる」程度の希薄なものだ。逮捕や賠償金に怯える金もコネもない一般人には出せないないような軽さで、きっと本質的には何も分かっていない。これやったらなんかよく分からないけど怒られるからやらないでおこう、と考えているらしいペットと同程度の浅い理解度かもしれない。
主人公はそんな彼の言動に幻滅するわけだが、それでも彼の言葉が苦しい時の彼女を救ったのは事実だ。そういう人にしか言えない言葉があり、そしてそれに心を打たれる人もいる。主人公のように弱っている時に一時的に響く場合もあるし、住む世界が違い感覚が違い過ぎて完全にやられてしまう人もいる。テレビで二世タレントが人気なのは、そこがウケている部分もあるのだろう。
ラストは落ち着くところに落ち着いた感じだが、分かりやすいラブストーリーのハッピーエンドにはしなかったことに好感が持てる。講師の恋が自然とうまくいったように、まともを目指さなくても上手くいくときは上手くいくものだ。ただし、あまり楽観視すぎるのも良くないが。無理せず自然と頑張ろうと思える時に頑張るのがいいのだろう。
スタッフ/キャスト
監督 前田弘二
脚本 高田亮
出演 成田凌/清原果耶/山谷花純/倉悠貴/大谷麻衣/泉里香/小泉孝太郎
音楽 関口シンゴ

