★★★☆☆
あらすじ
ミレニアムを祝福するムードに満ちていた10年前(2001年)、女は夜遊びに明け暮れ、男と同棲していた。
スー・チー主演、ホウ・シャオシェン監督。105分。
感想
10年前の自分を回想する形で進行する物語だ。ただ、現在の主人公はナレーションのみで姿を見せず、2001年の出来事だけが断片的に描かれていく。このナレーションが、各シーンの導入の役割を果たすのではなく、これから展開される内容のあらましを先に説明する形になっているのが不思議で面白い。
主人公は夜遊びをしている若い女だ。そして、仕事もせずにうだうだと家にばかりいる男と同棲している。主人公と男のいさかいが中心に描かれていく。
男は威圧的に振る舞い、主人公のカバンをあさって浮気を疑うような男だ。しかも別れようとすると泣いて引き留める。全然いいところがない。二人が楽しそうにしているシーンは一切なく、ただただうんざりするようなシーンが続く。何が楽しくて一緒にいるのだろう?と思ってしまう。
しかしそんな中で主人公が毅然としているのは印象的だ。男がすり寄ってきても冷たく無視しているし、暴力的に来られても負けじと対抗する。まったく男に依存したり媚びたりすることがない。
だからきっと描かれていないだけで、二人で楽しい時間はちゃんとあったのだろうなと想像できる。いい関係でいられた時もあったはずだ。そうでなければ、ずっと一緒にいるわけがない。
しかし男がダメ人間なのは間違いなく、結局は別れることになる。ちゃっかりと別の場所が確保されていたのは、運が良かったとも、彼女の力だとも言える。夜の店で働いたり、日本を訪れたりもしており、なんだかんだで人生経験を積み上げている。
冒頭の、トンネルのような通路をこちらを振り向きながら歩いていく主人公の姿にグッと心を掴まれる。そして、カラフルで抒情的な映像や鳴り響き続ける電子音に、エモーショナルな気分にさせられる映画だ。
ところで東京のシーンで、何の脈絡もなく公明党のポスターにピントを合わせるシーンがあり、何だったのだろうと気になってしまった。特定の人に向けた隠しメッセージなのかと深読みしたくなるが、異国の日本にいることを示すためだったり、映像にそんな色味が欲しかったというだけのことなのだろう。
今見ると普通に過去を振り返る物語かと思ってしまうが、これは2001年公開の映画だ。だから当時の感覚としては、10年後に今はどう見えるのだろう?と未来に思いを馳せるものだったはずだ。
それはこれからどう生きていくかにかかっている。楽しいエピソードがほぼ無い映画だが、良くないことばかりを思い出すということは、現在が幸せだからなのか不幸せだからなのか、どちらなのだろう。主人公の現在を色々と想像してしまう。
スタッフ/キャスト
監督 ホウ・シャオシェン
脚本/製作 チュー・ティエンウェン
出演 スー・チー/トゥアン・ジュンハオ/ガオ・ジェ/竹内淳/竹内康/ニョウ・チェンツー
音楽/出演 半野喜弘
音楽 リン・チャン/フィッシュ
撮影 リー・ピンビン

