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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「岬の兄妹」 2019

岬の兄妹

★★★★☆

 

あらすじ

 足に障碍を持つ男は、自閉症の妹の面倒を見ながら働いていたが、リストラされて生活に困窮するようになる。

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 片山慎三監督。89分。

 

感想

 自身も障碍を抱えながら、自閉症の妹を世話して生きる男が主人公だ。放っておくとどこかに行ってしまう妹を鎖でつなぎ、家に閉じ込めてから仕事に向かう。そして帰れば、時に怒鳴り、時に暴力を振るいながら世話をする。

 

 傍から見れば酷いように見えるが、彼らの日々の暮らしを見ていたらこうするしかないことがよく分かる。仕事中に妹の面倒を見てくれる人はいないし、一人でずっと世話をしていたら心はささくれだってしまう。

 

 

 なんとか生活を続けていた兄妹だったが、主人公の失業によりそれはあっさりと破綻してしまう。自分の障碍や妹の世話がネックとなってロクな仕事が見つからず、すぐに困窮するようになる。

 

 そして進退窮まった主人公は困り果て、ついには妹に体を売らせてしまう。まるで昭和の悲しい物語だが、今でも日本のどこかで起こっていることなのだろう。いつの時代にも底辺に押しやられてしまう人々がいる。むしろこれからはこんな人たちが増えてしまいそうな気配もある。

 

 兄が妹に体を売らせるなんて、どう考えてもつらく切ない話だ。だがどこか妹は楽しそうでもある。年頃の彼女にしてみれば、なにもするなと閉じ込められているよりは、外に出られて、兄に頼りにされ優しくされるのは嬉しいことだったのかもしれない。それもまた哀しみがある。

 

 不幸なのか幸福なのか、もはや二人にしか分からない兄弟の奇妙な世界は、どこか野坂昭如の小説世界を思い出させるものがあった。単純に気の毒とか可哀想で片づけられない。

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 ただ、自閉症の妹を持つ障碍者で、失業もしている主人公は、こんなことをしなくても何らかの公的支援が受けられたはずだ。本人も周囲もそんな知識すらない疎外された環境で、本当に助けが必要な人には救いの手が届かない、ということなのかもしれない。

 

 だが友人の警官はおそらく知っていたはずだし、知らなくてもちょっとの労力で知ることができたはずだ。だから金を貸したり売春を警告したりする前に、まずは支援が受けられることをちゃんと教えてあげろよと思ってしまった。

 

 とはいえ、お上の世話にはならないと、主人公が拒絶してしまう可能性も大いにある。弱者も、政治家や社長のように、デカい態度で公金のサポートを受けられるような社会的空気を醸成する必要がある。日本は強い者に甘く、弱い者に厳しい。社会的弱者の主人公にさえ、そんな態度が垣間見える瞬間があった。

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 運良く仕事復帰し、再び妹を閉じ込める生活に戻った主人公だったが、外の世界を一度知ってしまった妹にはもう耐えられない。絶望しながらも、誰かからの電話に「売春の依頼かも」と希望を持ってしまうラストの妹の姿に、なんとも言えない気持ちになる。こんなのどうすればいいのだ?と絶句してしまう。もはや二人だけではどうにもならない。

 

 どこか遠い話のように思えるが、母子家庭で似たような状況に陥っている人は多いのかもしれない。

母子世帯の居住貧困

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スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作/編集 片山慎三

 

出演 松浦祐也/和田光沙/北山雅康/中村祐太郎/岩谷健司/時任亜弓/ナガセケイ/松澤匠/芹澤興人/荒木次元/杉本安生/風祭ゆき*

*特別出演

 

岬の兄妹

岬の兄妹

  • 松浦祐也
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岬の兄妹 - Wikipedia

 

 

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