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「Mr.ホームズ 名探偵最後の事件」 2015

Mr.ホームズ 名探偵最後の事件(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 引退し田舎で養蜂をして過ごすかつての名探偵シャーロック・ホームズは、高齢により忘れかけていた最後の事件を思い出そうとしていた。

 

感想

 かつての名探偵が90歳の老人になった姿を描くという発想は面白い。往年の観察眼や洞察力はあるが、体や頭は衰えつつあることを自覚していて、それに不安を覚えている。特に自分の記憶が曖昧になっていくという事は、自分で自分が分からなくなってしまう、アイデンティティを失ってしまうという事で、ものすごい恐怖なのだろう。

 

 そして高齢で独身の彼の生活を支えるのは一人の家政婦。しかし、こういう状況の家政婦というのはなかなか難しい立場だ。高齢の雇い主が亡くなれば失業してしまうが、だからといってもうすぐあなたが死にそうだから次の仕事を探したいとは言い出しづらい。

 

 

 それに次の仕事が決まったとしても、今の雇い主が死んだ次の日から働く、というわけにはいかないので、業務開始は翌月から、などと決めてしまうと、まるで年寄りを見捨てて別の仕事に就いた、みたいになってしまう。なかなか身の処し方が難しいが、雇い主が自身の死後から1年間は引き続き給与を払う、などの対策を考えておくべきなのだろう。当然、ホームズはそんな家政婦の動きは察知しているのだが、そんな彼の胸中は察するに余りある。

 

 家政婦の息子から刺激を受けて、引退前の最後の事件の記憶が思い出そうとするホームズ。上品な雰囲気で、年老いたホームズを演じるイアン・マッケランの演技も素晴らしく見応えはあるのだが、たっぷりと描いた割には相応の満足感はなく、物足りなさが残った。

 

 ホームズが日本を訪れたという話も出てくるが、そんなに必然性があるとは思えなかった。戦争で多くの人が死んでいった日本の姿を見せることで、死んでいったホームズの周りの人たちや、そしていつか訪れる自身の死について深く考えるきっかけにしようとした、ということか。

 

 

スタッフ/キャスト

監督 ビル・コンドン

 

脚本 ジェフリー・ハッチャー(英語版)

 

原作 ミスター・ホームズ 名探偵最後の事件


出演 イアン・マッケラン/ローラ・リニー/真田広之/マイロ・パーカー/フランシス・デ・ラ・トゥーア

 

Mr.ホームズ 名探偵最後の事件(字幕版)

Mr.ホームズ 名探偵最後の事件(字幕版)

  • 発売日: 2016/09/05
  • メディア: Prime Video
 

Mr.ホームズ 名探偵最後の事件 - Wikipedia

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登場する作品

緋色の研究 (光文社文庫)

 

 

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