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「無法松の一生」 1958

無法松の一生

★★★☆☆

 

あらすじ

 「無法松」として知られた荒くれ者の人力車夫は、ケガをした少年を助けたことから、陸軍大尉の一家と付き合うようになる。

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 三船敏郎、高峰秀子、笠智衆ら出演、稲垣浩監督。1943年の同名作品を監督自らリメイクした作品。ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞。104分。

 

感想

 荒くれ者の車夫が主人公だ。ひょんなことから知り合った軍人一家との交流を中心に、彼の人生が描かれていく。彼が陸軍大尉と知り合った次のシーンで、その大尉が死んでいたのは劇的だった。母子家庭で子供を育てることに不安を感じる未亡人のために、主人公は力を貸すことになる。

 

 ただ、軍人と車夫では住む世界が違うはずで、未亡人が主人公に頼り、父親の役割を担わせようとしていたのは意外な感じがあった。死んだ大尉が主人公を認めていたからだろうか。それでも、一緒に運動会で子供の応援をしたりしているわけだから、未亡人にも世間体を気にしない度量があったのだろう。あるいは、主人公を使用人みたいな感覚で見ていたので気にしていなかったのかもしれない。

 

 

 主人公が少年を気にかけ、未亡人と共に成長を見守る様子は微笑ましい。だが、子どもを介した家族ぐるみの交流は、その子供が巣立った途端にぎこちないものになる。そして露わになるのは、主人公の秘められた未亡人への想いだ。ただ、唐突な感じがしないでもなかった。おそらくは最初の出会いからそんな想いがあったのだろうから、もうちょっと小出しに匂わせておいても良かったかもしれない。しかし、そうするといやらしさが出てしまい、主人公の言うように汚い男に見えてしまっていた可能性もある。

 

 主人公のエピソードを積み重ね、彼の人生に思いを馳せる展開となっている。どっしりとした安定感のある演出で、演じる三船敏郎の豪快でありながらも筋の通ったまっすぐな男ぶりにも魅せられる。だが、それぞれのエピソードが単発でつながりが薄く、全体としてはやや散漫な印象を受けるのは否めない。主人公の結婚の話が終盤まで出なかったのも不自然で、未亡人の存在と絡めてもっと早い段階で触れて欲しかった。

 

 ただ、主人公の年齢が曖昧なので、実際は思っているよりも若いのかもしれない。とはいえ、当時の平均寿命から考えれば、壮年期なら壮年期、老年期なら老年期という風に、見た目相当だと思えばいいのだろう。

 

 また、明治末期から昭和にかけた物語なので、年号が変わると時間経過がよく分からなくなるのも困った。しかし、明治は1912年まで、この映画は1958年公開、ということを踏まえれば、当時46歳以上の人は明治生まれということになり、公開時は皆がだいたい肌感覚で理解できたのだろう。

 

 明治生まれの人もこの映画を見ていたのかと感慨深いが、令和8年の現在、昭和生まれは37歳以上で、まだまだ結構いるようなものだろうか。あと50年も経てば、令和の時代にもまだ昭和生まれの人って結構いたのかと、同じように驚かれているのかもしれない。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 稲垣浩

 

脚本 伊丹万作

 

原作 富島松五郎伝 (中公文庫 A 150)

 

出演

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高峰秀子/芥川比呂志/飯田蝶子/宮口精二/中村伸郎/有島一郎/左卜全

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音楽 團伊玖磨

 

無法松の一生

無法松の一生 (1958年の映画) - Wikipedia

 

 

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