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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「のみとり侍 」 2018

のみとり侍

★★☆☆☆

 

あらすじ

 些細なことで藩主の怒りを買ってしまった実直な侍は、「蚤とり」にでもなれと命じられる。

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 阿部寛主演、豊川悦司、寺島しのぶ、斎藤工ら出演。110分。

 

感想

 主君の命令で「蚤とり」になった武士が主人公だ。序盤は彼が蚤とり侍になった経緯が描かれていく。だが、これがどうにも分かりづらい。

 

 主人公は歌会の席で主君の怒りを買うのだが、まず何をやっているのか、何を言っているのすらよく分からない。状況を飲み込めないままに主君が怒りだすので、呆気に取られてしまう。

 

 

 そして、藩主に「蚤とり」になれと命じられるのだが、命令というよりも捨て台詞のような雰囲気があり、真面目にそのまま受け取っていいのかどうか迷うシチュエーションだ。それなのに、主人公がさっさと屋敷を出て、蚤とりになろうとするのは違和感があった。まずは本気かどうか確認して、どうやら謝ったら済む話ではなく、ガチらしいと納得する段階を踏んで次に進んでほしかった。

 

 このあたりは武士社会の理不尽さを表現しようとしていたのかもしれないが、演出まで理不尽にしてしまってはダメだろう。大事な導入部分なのに、全体的にただふざけているようにしか見えず、すっと物語に入っていけない。

 

 さらに問題は、肝心の「蚤とり」について、どういう認識で描いてるのかが判然としないことだ。この職業を主人公は全く知らないのか、名前くらいは聞いたことがあるのか、それとも詳しく知っているのか。そして、観客がどの程度知っている前提でやっているのか。そのあたりが全然伝わってこないので、リアクションに困る。

 

 ちなみに「蚤とり」とは、ネコの蚤とりをするという建前で家に上がり込み、女性に売春する職業らしい。この仕事の紹介や主人公の奮闘ぶりは、思っていたよりも踏み込んだ演出もあって面白かった。彼に手練手管を教える、女房に尻に敷かれた遊び人のエピソードも可笑しい。

 

 最初のつまずきを挽回してきたなと思っていたのだが、終盤になるとまた雲行きが怪しくなる。田沼意次が現れるシーンは意図が分かりづらいし、その後の藩主との再会も、話がどこに向かっているのかがよく見えない。

 

 特に藩主は、主人公のことを疎ましく思っていたのに殺さなかったなんて、実はいい人なのでは?と思っていたが、どうやら違うらしい。この藩主をどういう人として描こうとしているのかがさっぱり伝わってこず、単なる頭のおかしな人みたいになっていた。

 

 さらに、ここへ都合の良い話をこれでもかと詰め込み、これまでの総決算とばかりに感動のフィナーレにしようとする展開は、強引すぎてひどかった。そして、武家社会より庶民の暮らしの方が全然良い、と語る主人公に、「え、そういう話だったの?」と、軽く驚いてしまった。

 

 題材自体は面白いのに、いい加減なネタ振りと強引なオチのせいで、最初と最後の印象がとても悪い。気持ちよく見ることの出来ない映画だ。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 鶴橋康夫

 

原作 蚤とり侍 (光文社文庫 こ 28-6 光文社時代小説文庫)

 

出演 阿部寛/寺島しのぶ/豊川悦司/斎藤工/風間杜夫/前田敦子/松重豊/桂文枝/伊武雅刀/六平直政/三浦貴大/笑福亭鶴光/ジミー大西/オール阪神/飛鳥凛/雛形あきこ/山村紅葉

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音楽 羽岡佳

 

のみとり侍 - Wikipedia

 

 

登場する人物

牧野備前守忠精(牧野忠精)/田沼意次/松平定信/平賀源内

 

 

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