★★★☆☆
あらすじ
奥田民生に憧れる編集者の男は、仕事で知り合ったファッション関係の魅力的な女性に恋をする。
妻夫木聡、水原希子、安藤サクラら出演、大根仁監督。渋谷直角の漫画原作。100分。
感想
奥田民生に心酔する編集者が主人公だ。だが、彼が奥田民生を意識して行動する素振りはほぼ見られない。奥田民生の曲が流れたり、彼の部屋にレコードやポスターがあることが確認できるだけだ。
しかし、気負わず自由な奥田民生に憧れる人間が、気合いを入れて全力で奥田民生を真似てしまっては、何も分かっていないことになってしまう。だからこれでいいのかもしれない。一応、歌詞の引用などはしていたが、もう少し「奥田民生ならどうする?」みたいな感じは欲しかったかもしれない。
そんな彼が、レベル高そうな女性に恋をして振り回される。主人公が無茶苦茶に弄ばれるのかと思ったが、案外とそうでもなかった。意外とあっさりと付き合い始めてしまうし、彼女は計算高いわけではなく、ただ素直に気持ちを表現しているだけに見える。主人公も振り回すようなことをしているので、大局的に見れば、この年代の普通の恋愛、といった感じがする。
しかし、付き合えない状態が続くと「自分には高嶺の花だった」とあきらめて終わってしまう。それに打算なくナチュラルに接してくるから、それに応えようとしてしまうところもある。
彼女は、その気がないのに「出会う男すべて狂わせる」、いわゆる魔性の女なのだろう。「その気がない」というのが重要で、そこに計算が見えたら途端に「魔性」の女ではなくなるような気がする。そして、高嶺の花に見えるが付き合うことは出来る、というのも、見落としがちな魔性の女の特徴かもしれない。
二人の恋模様は、普通のラブストーリーとして楽しめたが、他の男の影がちらつく終盤は、展開が読めてしまってダレてしまった。
考えてみれば、恋愛において素直に振る舞う彼女は、奥田民生的な女性なのかもしれない。主人公は、実地で奥田民生的生き方を学んだようなものだ。数年後の成長した彼はまったく奥田民生的ではなかったが、奥田民生を目指したらまったく奥田民生と似てない者になる、というのは真理だろう。そう考えると、最初からわかっていた主人公が確信を得た物語と言えるかもしれない。
久々に奥田民生を聞こうという気になる映画だ。劇中でいくつも使われる奥田民生の楽曲が、敢えてヒット曲を外しているのはちゃんと分かっている気がする。
ちなみに奥田民生になりたい、という感覚は、どのくらいの世代が理解できるのだろうか。気になるところだ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 大根仁
原作 奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール
出演
水原希子/新井浩文/安藤サクラ/天海祐希/リリー・フランキー/松尾スズキ/江口のりこ
音楽 岩崎太整
奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール - Wikipedia


