★★★☆☆
あらすじ
国内のラリーシリーズに参戦するレーシングチームでメカニックを務める男は、天才肌で気性の激しいドライバーの弟とぶつかりながらも、最高のマシンを作るために日々精進していた。
東出昌大、新田真剣佑、北村匠海ら出演。104分。
感想
熱く実直なメカニックの兄と、自信家で傲慢なレーサーの弟を中心に、ラリーチームに関わる人々を描いた群像劇だ。
まず、新しくマネージメント担当としてやってきた若い女性の目を通して、ラリーシリーズの世界が紹介されていく。素人目線で面白おかしく描こうとしているのだが、いろいろと力不足を感じてしまう内容だった。
特に、彼女が急に友だちのように下っ端のメカニックと励まし合ったり、メカニックの兄に急に仕事の悩みを打ち明けたりする図々しさにはイラっとさせられた。まるで自分がヒロインであると分かっているかのような振る舞いだ。
そして、ラリー連戦の様子が描かれる。山道や森の中を泥にまみれながら弾むように駆け抜けたり、高層ビルの建ち並ぶ都心のアスファルト、タイヤを切りつけながら疾走するシーンは迫力がある。ノリの良い音楽や熱狂する観客の姿と相まって、車好きならそれだけでテンションが上がりそうだ。
ただ、物語として映像で魅せる場面はほぼ無い。ラリーはタイムアタックなので、レースのような抜きつ抜かれつのシーンがなく、どうしても「誰それは何秒でした」と説明するしか仕方がないところがある。しかし、それ以外の兄弟の複雑な関係やメンバーのレースにかける思いなども、映像で語るのではなく、ほぼ口頭で説明されてしまう。映像なしでもストーリーが理解できてしまいそうだ。
キツいことばかり言っていた弟が、兄への信頼を口にするクライマックスは熱かったが、全体的に人物描写は雑だ。元々仲が良かった兄弟がどうして今のような関係になったのか、どんな変遷があったのか、もうちょっと丁寧な説明が欲しかった。序盤のマネジメント担当の女性もいつの間にかフェードアウトしているし、最後にすべてが一つになって盛り上がるというよりは、断片的にただエピソードを並べただけの印象だ。
兄弟で幼なじみの女性を取り合うのも「タッチ」ぽいが、どこか漫画、それも少女漫画で見たことがあるような場面を集めたような映画になっている。長期連載漫画のダイジェストを作ったらこんな感じになりそうだ。美味しいところ取りの分かりやすい物語なので、ベタさが気にならなければ、集中力低めで見るには悪くないのかもしれない。
スタッフ/キャスト
監督 羽住英一郎
脚本 桑村さや香
出演 東出昌大/新田真剣佑/森川葵/北村匠海/町田啓太/要潤/吉田鋼太郎
音楽 佐藤直紀



