★★★☆☆
あらすじ
並行して走る電車でいつも見かける女性に思いを寄せていた男は、その女性が友人の恋人だったことを知り戸惑う。
玉森裕太、吉岡里帆、染谷将太ら出演。東野圭吾原作。108分。
感想
曖昧な記憶に不安になり、過去を探り始めた男が主人公だ。思いを寄せていた女性が友人の恋人だと知ってショックを受けた回想シーンの後、主人公の現在の同棲相手がその女性だと分かるシーンは面白い。その間に何があったのか、あるいはどんな記憶の改変が行なわれていたのかと、興味をそそられる。
おかげで物語の行く末に興味を持って見ることは出来たのだが、次第におかしな描写が色々と気になってくる。記憶がぼんやりとしていることに気付いたのだから、ちゃんと覚えていない自分に戸惑ったり、周囲を疑ったりしそうなものなのに、妙にフラットな状態でいる主人公が解せない。淡々と過去を調べている。
かと思ったら突然、同棲相手にブチ切れるのも意味が分からない。もっと主人公の不安や猜疑心を周囲に分かるように表現してくれないと、彼の言動がすべて不自然に見える。疑心暗鬼になっていく様子が欲しかった。
次第に明らかになってくる過去と共に判明するのは、主人公のゲスさだ。思いを寄せていた女性が友人の恋人だと落ち込むも、ノーベル賞級の発見をしたのに詳細を教えてくれない友人に腹を立て、彼女に悪意をさらけ出し、最終的には襲って寝取ってしまっていたことが分かる。
実は主人公は悪人だった、というプロットでも別にありだが、それが分かった後も善人風に描かれているのが納得いかない。友人を裏切ったくせに何事もなかったかのように友情を続けているし、女性との愛も純粋なものだったと美化している。記憶が改変されていたことより、その強引な自己肯定の方が怖いわ、と思ってしまった。こんな人は世の中にたくさんいるが。前に進もうと、カジュアルに記憶を消してしまうのもサイコパス感がある。
どんな真実が待ち受けているのかと期待させるが、想像の範囲内で終わってしまう映画だった。
スタッフ/キャスト
監督 森義隆
脚本 一雫ライオン
出演 玉森裕太/吉岡里帆/染谷将太/筒井道隆/美村里江/清水尋也/水間ロン/石田ニコル/田口トモロヲ
音楽 安川午朗
