★★☆☆☆
あらすじ
ある出来事がきっかけでスターへの道を歩み始めた少女。
ナタリー・ポートマン、ジュード・ロウら出演。原題は「Vox Lux」、ラテン語で直訳すると「光の声」。110分。
感想
ポップスターとなる主人公の物語だ。そう思って見始めたら、いきなり衝撃的な出来事が起きて驚かされた。だがこれで主人公はスターとなるきっかけを掴む。
前半は主人公が成功するまでの過程が断片的に描かれていく。付きそう姉と仲良くし、汚い言葉を拒絶し、生き馬の目を抜く世界で自分を見失わないように、そして適応できるようにと気丈に頑張っている。
そして後半は一気に時代が飛び、すでにスターとなった主人公の姿が描かれる。演じるのもラフィー・キャシディからナタリー・ポートマンに代わっている。数々のスキャンダルを乗り越え、スターであり続けてきた主人公は、姉には高圧的な態度を取り、汚い言葉を使って他人を罵るようになっている。かつての純粋な姿はもうない。重圧を背負い、世間の注目を浴び続けてきた者ならではの強さと脆さを見せている。
そんな主人公をナタリー・ポートマンが好演しているのだが、内容自体はスターの光と影を描くありきたりのものだ。そしてセリフも多くなって、展開に期待を持たせた前半とはうってかわって、つまらなくなってしまった。
大衆の注目を浴びた事件から生まれ、常に大衆の目にさらされ、叩かれたり支持されたり、時にはテロリストにまで利用されたりしながら生きてきた主人公は、大衆によってつくられた鏡のような存在だといえる。
なんだかんだで人々を惹きつけ、魅了し続ける「ポップスター」の凄みを見せつけるのが、ラストのコンサートシーンだ。だがこれがとても退屈で、いつまで続くの?と辛かった。使われている楽曲が全然ピンと来なかったのが大きいが、感じ方は人それぞれなので、気に入った人なら盛り上がったのだろう。
映画の中の主人公のヒット曲は、歌手のシーアが作ったようだが個人的にはいまいちだった。最近よくある実在のミュージシャンの伝記映画なら本物のヒット曲を使えるが、フィクションだとちゃんといい楽曲を用意できるかどうかで印象は大きく変わってしまう。
アメリカ社会の変化と主人公の人生を重ねているのか?と深読みしたくなるようなプロットや、夜の街灯やニューヨークの高層ビル群といったなんでもない風景をグッとくるようにとらえる映像など、おっ?と思わせるようなものがあっただけに勿体ない。
エンドロールのようなオープニングクレジットや、逆に流れるエンドロールも、物語が終わって始まり、巻き戻して繰り返される、みたいなイメージを想起させて興味深かった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/原案 ブラディ・コーベット
製作総指揮/出演 ナタリー・ポートマン
製作総指揮/音楽 シーア
出演 ラフィー・キャシディ/ステイシー・マーティン/ジェニファー・イーリー/クリストファー・アボット/フレッド・ヘッキンジャー/(声)ウィレム・デフォー
音楽 スコット・ウォーカー
撮影 ロル・クローリー

