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「プンサンケ」 2012

プンサンケ(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 韓国と北朝鮮を行き来する運び屋の男は、亡命した北朝鮮高官の愛人を連れてくるように依頼される。 

 

感想

 ひとりの女性を北朝鮮から韓国に連れてきた事から始まる物語。この女性の存在が、無口でクールな主人公や彼女を連れてくるよう頼んだ亡命した北朝鮮高官の運命を狂わしていく。

 

 ただこんなことを言うのは申し訳ないのだが、それを演じるキム・ギュリが、男たちの人生を狂わしてしまうような女性には全然見えないのが残念だった。絶世の美女というわけでもなく、魅力的なキャラクターというわけでもない。ストーリーの核となる部分がそんな感じなので、物語全体に説得力を感じられなかった。ただこれは単なる個人の感想なので、多くの人はそうは思わないのかもしれない。

 

  

 それから無口でクールな主人公が、無口どころか一言も喋らないのはさすがに無理があるだろうと思ってしまった。最後まで結局、彼が何者なのか分からなかった。きっと彼は北にも南にも所属しないファンタジー的な存在という事なのだろう。よく考えてみれば、棒高跳びで国境のフェンスを越えたりしているわけで、全体的に寓話的な雰囲気はあるが。

 

 ところで主人公は、無口でM-65ジャケットを着用していているということで、なんとなく高倉健を連想してしまうのだが、意識していたのだろうか。情に厚く不器用という性格でもあったので、参考にしていた気はする。ちょっと気になった。

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 女性に翻弄され、南にも北にも利用されてしまう主人公の話は、上述のようにあまり感情移入できず楽しめなかったが、終盤の北朝鮮と韓国、それぞれの組織の人間を狭い部屋に閉じ込めて争わせる場面は、密室もののようで少しワクワクさせられた。

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 彼らは、戦えば結局共倒れなので、普通に考えれば協力し合うべきなのだが、それがなかなか難しい。互いが疑心暗鬼になっていて、いつ裏切られるかと恐れている。朝鮮半島統一の難しさを分かりやすく象徴的に示しているようなシーンだった。確かに個人間でも一度出来た溝を埋めるのは難しいのに、ましてや国同士なんて、いつまで経っても解決できないような気がしてしまう。まず国内をまとめる事が難しいはずだ。

 

 感情移入できる部分があまりなく、どうにも長く感じてしまう映画だった。

 

スタッフ/キャスト

監督 チョン・ジェホン

 

脚本/製作総指揮 キム・ギドク

 

出演 ユン・ゲサン/キム・ギュリ/キム・ジョンス/チェ・ムソン/ユ・ハボク/キム・ジョンソク/ペ・ヨングン/チョ・ジェリョン/キム・ヨンフン
/オダギリジョー(カメオ出演)

 

プンサンケ(字幕版)

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  • メディア: Prime Video
 

プンサンケ - Wikipedia

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