★★★☆☆
あらすじ
寂しい人に猫を貸し出すレンタネコ屋を営む女。
感想
猫に好かれやすい猫好きな女が主人公だ。いくつか掛け持ちしている職業の一つとしてレンタネコ屋がある。序盤は、猫を借りたい人が現れ、主人公が審査を兼ねてその人のお宅を訪問し、契約後にそこで起きたちょっとしたエピソードが描かれる。一話完結のテレビドラマみたいなスタイルで、それが短く二つ続く。だがこの二つのエピソードがいまいちパッとせず、面白みに欠けた。
続いて、レンタカー屋で料金表に載っていた車のランクを見たことがきっかけで、なんでもランク付けをする世の中に対して物申す、みたいな展開となる。みんな平等じゃないか、勝手にランクを決めるな、と言いたいことは十分に分かる。でもそんなに新鮮味を感じるような斬新な意見ではなく、よく聞くような話だ。わざわざ長々と熱弁するようなものではない。クドくてうんざりした。
そして店員に猫を貸し出すのだが、いつもやっている審査のためのお宅訪問をなぜかやらなかった。それがめちゃくちゃ気になってしまって、しばらくは話が頭に入って来なかった。
中盤まではわりと辛い展開だったが、田中圭演じる主人公の同級生が現れてからは面白くなった。それまでのほっこり優しい世界とは異なる少し毒っ気のある話が展開される。あまりに善なる世界だと嘘っぽくて退屈になってしまうから、良いバランスの取り方だ。
主演の市川実日子の個性的なキャラクターは魅力的だし、彼女の古き良き日本を感じさせる日本家屋での暮らしぶりも和んだ。たくさん登場する猫たちはメインで大活躍するわけではなく、ただそこいらでだらだらしているだけなのだが、でもそれが良い。猫好きが猫のようにだらだら見るには良い映画なのかもしれない
だが、主人公が猫好きなどの設定はそのままで、だけどレンタネコ屋はやらないで、後半部分を膨らませた話をメインにしたらもっと面白くなったような気がした。
スタッフ/キャスト
監督/脚本
出演 市川実日子/草村礼子/光石研/田中圭/小林克也/眞島秀和