★★★☆☆
あらすじ
博多でくすぶっていたロックバンドは、新ギタリストの加入を機に、快進撃を始める。
中村俊介、玉木宏ら出演、陣内孝則監督。監督がボーカルを務める「TH eROCKERS(ザ・ロッカーズ)」の若かりし頃を描く自伝的作品。105分。
感想
ロックバンド「ザ・ロッカーズ」のデビューまでを描く伝記映画だ。監督自身のバンドなので、カッコ良くナルシスティックに描いてしまいそうなものだが、コミカルな笑いも織り交ぜられている。それが成功しているかどうかはともかく、好感はもてる。そんなことをしても、結局カッコいいのがミュージシャンでもある。
ロックバンドの成功物語としては定番のストーリーといえるが、そんな中では悪くない内容だ。勢いだけで何とかなると思っていたバンドが、新メンバーの加入により目標が定められ、そのために何が必要かを考え、やるべきことをやるようになる。そして、成功への道を歩み出す。よほどの人物でもない限り、戦略が必須だということを痛感させられる。
バンドメンバーの演奏シーンも悪くない。しかし、どこかメンバーが小ぎれいで、いかがわしさや不穏さが感じられないのは物足りない。ロックバンドにとってそこが一番大事で、それがないことでロックとはみなされないことだってあるので、かなり痛い。もっとどこか不埒でヤバそうな雰囲気を醸し出して欲しかった。
それからライブや夜のシーンはそれほど気にならないが、全体的に照明が強すぎるように感じる。日中のシーンなどは、明るすぎて白々とした印象を受ける。光と影は映画の重要な要素だが、光ではなくもっと影が欲しかった。明るすぎる。
最後にプロデビュー後の話が後日譚的に展開されるが、この手の映画にありがちな挫折の暗さがあまりないのは印象的だ。悲しい事故はあったが、他のメンバー同士は屈託がない。実際のところはどうなのか分からないが、彼らがこういう関係でいられるというのはなんだか安心する。
無理して続けず、イヤになったら一旦分かれて、また会いたくなったら会う。それぐらいの感覚でいたほうが、人付き合いはうまくいくのかもしれない。頑張って関係を続けようとするから、修復できないくらいこじれることになる。頑張ることは正義でなく、ある種のいい加減さも必要なのだろう。
無駄に走ったり叫んだり、恋愛要素があったりするのは青春映画らしく、シンプルにライブシーンが良いのも音楽映画らしく、笑いも涙もあってしっかりとポイントは押さえられている。それぞれに物足りない点はあるが、多彩なゲスト出演者も楽しく、エンタメ作品として十分満足できる映画だ。
スタッフ/キャスト
監督/原案/出演 陣内孝則
脚本 斉藤ひろし
出演 中村俊介/玉木宏/岡田義徳/佐藤隆太/塚本高史/上原美佐/玉山鉄二/麻生祐未/風間トオル/鈴木京香/松重豊/モト冬樹/八嶋智人/伊佐山ひろ子/小林且弥/はなわ/王様/神木隆之介/白竜/大杉漣
撮影 中山光一

