★★★☆☆
あらすじ
母親の希望通り美少女コンテストに参加してきた女子高生は、町でたまたま見かけたローラーゲームの選手たちに惹きつけられる。
原題は「Whip It」。112分。
感想
田舎町の少女が、ローラースケートを履いて行うスポーツ「ローラーダービー(ローラーゲーム)」に熱中する物語だ。スポーツに友情、恋愛、家族との確執と、青春映画の要素が詰まっている。
ただ、メインとなるローラーダービーのルールが分かりづらいのが難点だ。一応、序盤に丁寧な説明はあるのだが、それでも分かりづらい。それにヴィジュアル的にも、選手がごちゃごちゃと入り乱れてしまうので状況が把握しづらい。ゲームの内容で盛り上がれず、なんとなくの雰囲気で楽しむだけになってしまっている。
そして作る側もそんなにこのスポーツに愛着はなさそうだ。地道な練習シーンや刻一刻と変化するゲーム展開を見せることはなく、このスポーツの醍醐味を描こうとはしていない。おそらくは女子が集まってワイワイやっている雰囲気を撮りたかっただけなのだろう。
スポーツそのものよりも、選手同士のシスターフッド的な連帯や、彼女たちから人生を学ぶ主人公の姿を描くことに注力している。しかし、ジュリエット・ルイスやドリュー・バリモア、クレステン・ウィグなど、主人公の先輩役を演じる女優たちに貫禄があり過ぎな気がしないでもない。勝手なイメージだが、皆どっしりとしている。道化を演じるドリュー・バリモアにすら風格を感じてしまった。
時代設定はいつなのだろうと思ってしまうが、どこかレトロでノスタルジー感漂う世界観に、魅力的な音楽、個性的なキャラクターたちと、雰囲気の良い映画だ。スクリーンいっぱいに広がるタイトルバックなど、随所に映画的表現をしようとする努力も見られる。好感が持てる映画だ。
だが、肝心のストーリーがどこかで見たような映画のワンシーンの詰め合わせみたいになってしまっている。それぞれのシーンは悪くないのだが、それがつながって心を動かすドラマにはならなかった。良さげな雰囲気を持っているだけに、どこか勿体なさを感じてしまう映画だ。
スタッフ/キャスト
監督/製作/出演 ドリュー・バリモア
原作 Derby Girl (English Edition)
出演 エリオット・ペイジ*/マーシャ・ゲイ・ハーデン/クリステン・ウィグ/ジュリエット・ルイス/ジミー・ファロン/ダニエル・スターン/アリア・ショウカット/ゾーイ・ベル/アリ・グレイナー/カルロ・アルバン
*エレン・ペイジ名義
音楽 ザ・セクション・カルテット