★★☆☆☆
あらすじ
霊が見えるのが子供の頃からの悩みだった青年は、謎の男に除霊の助手をしないかと誘われる。
志尊淳、岡田将生、平手友梨奈ら出演。漫画原作。102分。
感想
主人公は霊が見えることに悩む若者だ。除霊師の助手になり、一緒に刑事に協力するようになる。除霊師は人の気持ちをうまく理解できず、刑事は霊の存在を一ミリも信じていない。どちらも一般的な感覚を持ち合わせていないのが面白い。ついでに言うと、いつまで経っても自分の霊能力と折り合いを付けられない主人公もまた、「普通」ではないだろう。
連続殺人事件を追っていた彼らは、やがて背後に強力な呪いの力を持った若い女の存在にたどり着く。当然両者の対決になっていくのだろうと思っていたが、全然別の方向に話が進んでいってしまった。
敵になるかと思われた若い女は、自分で呪いをかけておきながらそれを解こうとしているし、主人公はそれを手伝って二人とも死にそうになっている。助けにやってきた除霊師は、いつの間にかそっちのけで自分の辛い過去を思い出している。
意表を突く展開に付いて行けないというか、いや付いて行けているのだが「みんな何やってるの?」と戸惑ってしまうというか、とにかく困惑させられる。マッチポンプで前に進めなくなり、立ち止まっているだけの印象で、ものすごい停滞感に襲われた。事前の情報で想像できることを再現しているだけなので、後半はとても退屈だ。
優秀な除霊師には哀しい過去があった―それ自体は別にいいのだが、その前に除霊師としての仕事ぶりや刑事事件を解決する様子をちゃんと描いて欲しかった。どちらの活躍もまともに描かないので、実際のところ、彼が普段何をやっているのかよく分からない。やったことと言えば、事件被害者の遺体を発見したことくらいだが、そんなの犬だってできる。
霊能力者たちの熾烈なバトルが見られるのかと思ったら、彼らが寄り添って互いに傷を舐め合うだけの心理セラピーの話だった。一般人はともかく、望まぬ霊能力に悩んでいる人には心癒される内容なのかもしれない。
通行人が皆黒い服を着ている演出はやり過ぎだったが、映像や構図にはこだわりを感じ、音楽も良くて、映画の質自体は悪くなかった。それだけに残念な脚本が惜しまれる。
スタッフ/キャスト
監督 森ガキ侑大
脚本 相沢友子
出演
志尊淳/平手友梨奈/マキタスポーツ/新納慎也/桜井ユキ/和久井映見/筒井道隆/滝藤賢一/北川景子/内田慈
音楽 山口由馬
撮影 近藤哲也
編集 キルゾ伊東
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