★★★☆☆
あらすじ
なぜか殺し屋に命を狙われた犯罪心理学の講師は、理由を探るべく組織と接触を図る。
仲代達矢、天本英世ら出演、岡本喜八監督。原作は都筑道夫。99分。
感想
物語は、悪役の経営する精神病院からスタートする。際どく危険な香りで、面白くなりそうな雰囲気がプンプンとしていた。
しかし、続くドイツ人との面会シーンで、白が多めの白黒映像なのに白い文字で字幕を入れてきて、ちゃんと視認できるのかと無駄にドキドキとしてしまった。結果としてはそれほど苦労せずに読み取ることは出来たが、切り替わるタイミングが早くて読み切れなかった。それでも、なんとか言いたいことは分かったが。
この悪役を演じるのは天本英世だ。ドイツ語を流暢に操るシーンは、堂に入っていて感心する。その後も彼は得体のしれない怪しさを放ち続け、存在感のある悪役を好演している。
殺されかけた大学講師の主人公が真相を探るべく、殺し屋を送り込んだ組織に近づこうとするコミカルな物語だ。シュールな設定の中、トボけた顔して着実に敵に迫る主人公を演じる仲代達矢もまた、はまり役だ。
しかし、笑えるかといわれると、それほど面白みは感じない。自衛隊の不発弾を手にして、税金に絡めて「年末調整の跳ねっ返りだ」と称した場面は可笑しかったが、全体としてはノリがやや古いかなと思ってしまう。
ただし、映画の雰囲気は抜群だ。個性的なキャラクター、センスの感じられる構図にトガったセットの映像、と見応えたっぷりで心地いい。シュールでスラップスティックな中でも、締めるところは締めて、ストーリーもそれなりに筋が通っている。謎めいた余韻を残すエンディングも味わい深く、乙な映画となっている。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 岡本喜八
脚本 小川英/山崎忠昭
原作
*改題前のタイトルは「飢えた遺産」
出演 仲代達矢/団令子/砂塚秀夫/天本英世
音楽 佐藤勝
撮影 西垣六郎
