★★★☆☆
あらすじ
凄腕の中年フリーカメラマンは、写真週刊誌の副編集長に、若い女性記者の教育を依頼される。原田眞人監督の1985年のテレビ映画「盗写 1/250秒」のリメイク作品。
感想
いわゆるゴシップネタを追うパパラッチカメラマンの物語。中年カメラマンが若い女性記者と組んでスクープを連発する。凄腕だがガサツなカメラマンの主人公を演じる福山雅治は、無理やり下世話な感じを出そうとしているのが丸わかりの時があって、時々つらかった。シュッとしている福山雅治がデリカシーのない男を演じてますよ、というのをやりたかったのだとは思うが。彼とコンビを組む二階堂ふみは、相変わらず良い演技だった。
前半は、ゴシップ記者の様々な取材の手法が描かれて、業界の内幕を知ることが出来るという意味で単純に興味深かった。特に花火を使った方法はすごいなと感心した。ただ、序盤にいきなり「パパラッチはゴキブリみたいな仕事だが、それを求める人がたくさんいる。」と、聞き古したジャーナリズム論をぶたれて、それを今さらわざわざ真正面から言うのか、と驚いた。でも、これを今まで聞いたことがない若い世代には響く可能性があるので、定期的にこういう事も言っておいた方がいいと判断したのかもしれない。
年齢差のあるコンビなので、「なんでも野球に例えるの古いですよ」みたいな「古さ」を揶揄するシーンが何度か出てくるのだが、正直あまり笑えなかった。それを言い出したら、ゴシップ記者を題材にしているこの映画自体のテーマや設定も相当古臭いわけで、そんな映画が自覚もなく、分かった気で「古い」とか言っていること自体に痛々しさを感じてしまった。
そんなパパラッチ映画も、後半はすっかり別の話になってしまう。主人公の知り合いの情報屋が暴走し、ここからはそれを演じるリリー・フランキーの独壇場だった。過去に彼と主人公との間には何かあり、それが現在の彼らに深く影響を与えている事はなんとなく匂わされているのだが、実際に何があったかは最後まで描かれない。描いたところで陳腐になるだけなのかもしれないが、それがよく分からないので、その後の展開に説得力がなかった。主人公は何でそこまでしなければいけなかったのかと腑に落ちない。
その他、冷笑的だった滝藤賢一演じる副編集長が、映画中盤で突然大活躍するシーンは面白かったが、その後彼がなぜ豹変して熱いキャラに変わったのかもよく分からないし、主人公と女性記者の関係も、そんなベタなことになるのかと幻滅もしたが、それなりには楽しめる映画になっている。ただ残念なのは、結局ゴシップ記事を書いている人たちも、いつかはちゃんとした報道をやりたい前提になっていることだ。そこはどんなに見下す人がいても、ゴシップ最高!と、熱いプライドをもってやっていて欲しかった。卑下したり、仕方なくやっていることにされてしまったら冷める。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 大根仁
原作 テレビ映画「盗写 1/250秒」
出演 福山雅治/二階堂ふみ/吉田羊/滝藤賢一/リリー・フランキー/斎藤工/塚本晋也/中村育二/宮嶋茂樹/松居大悟
音楽 川辺ヒロシ
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リメイク元の作品
「盗写 1/250秒」 監督 原田眞人