★★★☆☆
あらすじ
ダイヤ強奪に成功するも仲間に裏切られた男は復讐を誓う。
感想
この手のものにはよくありがちだが、ブルース・ウィリスが主演のように思わせておいて、実際は50セントが主役の映画だ。50セントはラッパーとしてはめちゃくちゃヤバい奴みたいな空気感があるのに、こうやって映画に出るときは内気な青年みたいに見えてしまうのが不思議だ。ラッパーとしての見せ方が上手いとも、役者として上手くないともいえる。
幼馴染の仲間に裏切られた男が復讐に立ち上がる物語だ。ただこの主人公らの実力がいまいち良く分からないままに物語が進んでしまって若干戸惑う。不良に毛が生えた程度のチンピラグループかと思っていたら、両者ともそれなりに度胸があるし、それなりのステータスも手に入れているようだ。
そんな彼らの戦いに大物マフィアらの思惑も絡んで事態は複雑化していく。それぞれのシークエンスやシーンにはなかなか良いものが多く、特に主人公がマフィアの見張り役と共にクスリの売人の家を訪れた一連のシーンはグッと来た。予想もしていなかったような出来事が突然起きる。そこに至るまでの奇妙な間で展開するシーンも良い。その後の後始末も含めてどこかコミカルで「パルプ・フィクション」ぽさがあった。
ただストーリー全体で見ると不可解な事が多くてどうもパッとしない。やりたいシーンはたくさんあってそれ自体は上手くやれているのだが、シーンとシーンを上手くつなぐことが出来なかった印象だ。発端となったダイヤ強奪事件の全体像が分かってくると、ライアン・フィリップ演じる敵役はわざわざ仲間を誘ってそして裏切らなくても、そもそも一人で出来た仕事なのでは?と思ってしまった。幼馴染なんだから理由を話せば全然理解してくれたはずだろう。
ちなみにマフィアのボスを演じるブルース・ウィリスは、思わせぶりな大物感を漂わせつつ、そんなやり方でよく大物になれたなと呆れてしまうような軽率な行動で呆気なく退場してしまう。
不満は多いのだが、見どころは多い映画。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 マイク・ガンサー
製作/出演 カーティス・ジャクソン(50セント)
出演 ブルース・ウィリス/ライアン・フィリップ/ジェナ・ディーワン/ランディ・クートゥア/ジェームズ・レマー/ショーン・トーブ