★★★☆☆
あらすじ
悪徳プロモーターの勧誘を断ったことで命を狙われたカンフー映画スターは、復讐に乗り出す。
主演のブルース・リー急逝のため未完となっていたものを、代役を立てて完成させた作品。サモハン・キンポー、カリーム・アブドゥル=ジャバーら出演。英題は「Game of Death」。100分。
感想
ブルース・リーの死後に、代役を立ててなんとか完成させた映画だ。だから無理があるのは仕方がないのだが、いきなり他の出演作品を借用、からのそっくりさん登場、そして本人映像の無理やりの挿入と、冒頭から色々面白かった。
前半は、ほぼ代役が主人公を演じている。熱狂的なファンの物まねとは違い、仕事として真面目に本人に寄せようとしている感じがあって、動きに勢いがなく、ぎこちない。そこそこ似てはいるが、その微妙なそっくり具合が逆に胡散臭さを醸し出しているのが可笑しい。
この前半は、後半に向けて盛り上げていきたいが、そっくりさんを前面に出し過ぎると観客が冷めてしまう、というジレンマを感じる内容になっている。常にどこか腰が引けた演出で、物足りなさが残る。
ただ、後半につなげるストーリー展開自体は良く出来ている。そっくりさんの胡散臭さを誤魔化すために、ケガをしたことにして包帯で顔を隠したり、変装させる演出は巧かった。黄色いトラックスーツを着るまでの流れも自然だ。葬儀のシーンで、実際のブルース・リーの死に顔の映像を使っているのには引いてしまったが。
後半は、生前にほぼ撮影を終えていたというブルース・リー本人による格闘シーンが始まる。有名な黄色いトラックスーツを着て、次々と現れる強敵たちと繰り広げる死闘には、思わず力が入って引き込まれる。時折出る例の怪鳥音や変な仕草がアクセントになっていて、それを含めてカッコいい。本物にしかない風格が漂い、とても魅力的だ。
敵を倒す度に主人公が階段を駆け上がっていくのが奇妙で可笑しく、最後にラスボスが出てきた時には、そこは何階だよ!とか、どんなところで暮らしているんだよ!とツッコみたくなってしまった。これは、各階にいる敵を倒しながら最上階を目指す、という元々の映画の設定によるものらしい。
強引に作られた不自然さも含めて、なんだかんだで面白がって楽しめてしまう映画だ。そして最終的にはブルース・リーのスゴさに引き込まれてしまう。
スタッフ/キャスト
監督 ロバート・クローズ
監督*/出演 ブルース・リー/サモ・ハン・キンポー
*アンクレジット
脚本 ジャン・スピアーズ
製作総指揮 レイモンド・チョウ
出演 ギグ・ヤング/ディーン・ジャガー/コリーン・キャンプ/ボブ・ウォール/カリーム・アブドゥル=ジャバー/ヒュー・オブライエン/ダニー・イノサント/ジェームス・ティエン/ロイ・チャオ/アルバート・シャム*/ユン・ワー**/ユン・ピョウ**/タン・ロン**
*アンクレジット **スタント役
撮影 西本正(1972年)/ゴッドフリー・A・ゴダー
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続編
ブルース・リーの構想通りに編集した映像を収めたセミドキュメンタリー