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「サイド バイ サイド 隣にいる人」 2023

サイド バイ サイド 隣にいる人

★★☆☆☆

 

あらすじ

 不思議な霊力を持つ若い男は、かつて傷つけた元恋人と再会する。

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 坂口健太郎、齋藤飛鳥、市川実日子ら出演。130分
 

感想

 主人公は不思議な能力を持った男だ。ただし霊力の詳細は曖昧にされていて、はっきりとは分からない。この物語は万事がそんな感じで、すべてがふんわりと描かれている。

 

 敢えて説明しない手法を使っているのだろうが、何もかもがこの調子ではなかなか辛いものがある。主人公が何者なのかとか、市川実日子演じる子持ち女性との関係とか、せめて何か一つくらいはちゃんと描写して欲しかった。確かなものが何もないので、寄って立つ足場がなく、たぐり寄せる糸口もつかめない。

 

 

 何度もトンネルが登場したり、主人公がシンメトリーな土蔵の部屋に暮らしていたりと、なにやら意味ありげなシーンも多く、どこか黒沢清監督の映画を思い起こさせるものがある映画でもある。だがそれが何を意図しているのかはさっぱり伝わってこなかった。

 

 良かった点は、映像が美しいところだろうか。緑あふれる大自然や主人公らが暮らす光あふれる開放的な住宅などは素直にいいなと思える。

 

 それから主人公の中性的で、ふんわりと優しい人畜無害な青年キャラは、いかにもで嘘くさいが、セクシーで若い女をとりあえず登場させる監督がいるように、こういう青年キャラを好む監督だと思えばいいのだろう。

 

 すべてがぼんやりとしており、あまり深く考察する気になれない映画だ。それでも頑張って考えようとすると、自然てイイよねとか、丁寧な暮らしは大事だねとか、子どもは宝だよとか、陳腐なメッセージにたどり着いてしまいそうなので、やめておいた方が良さそうだ。「映像が綺麗だった」で思考停止しておくのが吉かもしれない。

 

 なにも分からないままにしておいてくれたら、分かったような口もききたくなるのに、主人公の過去の償い、みたいなありがちな筋が見えてくるのも冷める。

 

 最終的には、「とにかく長く感じた」という感想しか残らない映画だ。130分の時間が過ぎたことだけだけは確実に分かる。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/原案 伊藤ちひろ

 

製作 行定勲/小川真司/新野安行

 

出演 坂口健太郎/齋藤飛鳥/浅香航大/磯村アメリ/茅島成美/不破万作/津田寛治/井口理(King Gnu)/市川実日子

 

音楽 小島裕規 “Yaffle”

 

撮影 大内泰

 

サイド バイ サイド 隣にいる人 - Wikipedia

 

 

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