BookCites

個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「新選組始末記」 1963

新撰組始末記

★★★☆☆

 

あらすじ

 新選組の近藤勇の人間性に惚れこみ入隊を決意した山崎烝は、理想と現実に苦悩しながらも隊のために尽力する。93分。

www.youtube.com

 

感想

 局長・芹沢鴨の暗殺から池田屋事件までの新選組が描かれる。しかし主人公が山崎丞とは意外だった。彼は裏方のイメージが強いが、普通に剣術も強い武士として描かれている。浪人だったという設定は創作のようだが、武術についてはどうだったのか気になる。

 

 主人公・山崎烝は、局長の人間性に惚れこみながらも、土方歳三に担がれて局内の権力闘争に明け暮れる様子に忸怩たる思いでいる。言ってる事とやってる事が違うではないか、と憤るわけだが、それを丸め込んでしまう若山富三郎演じる近藤勇の言葉には妙な説得力があった。これが器の大きさというやつなのだろう。

 

 考えの深さや懐の大きさを感じさせたが、それと同時に愚鈍さを感じないこともない。図体がデカい無口な馬鹿でも、ある程度はこんな雰囲気を醸し出せそうだ。

 

 

 クライマックスは池田屋事件だ。スパイをしていた主人公の情報を信じるかどうかで、近藤勇と土方歳三で対立する。土方に何を言われようが主人公を信じる姿勢を崩さない近藤の姿には胸が熱くなるものがあった。その一方で、皆の前でいかに主人公が信用できないかを言い募る土方には、そんな事をしていたら隊士の反感を買い、士気が下がらないか?と心配になってしまった。

 

 主人公と近藤勇の信頼関係の強さを感じさせるシーンだったが、そうなった経緯はあまり描かれていない。この他、沖田総司ら他の隊士も顔見世程度に登場するだけで深みはなく、全体的に表面的で中身の薄い物語となっている。時間が短いので全部を描くのはなかなか難しいが、せめて二人の絆だけでももうちょっとしっかり描いて欲しかった。

 

スタッフ/キャスト

監督 三隅研次

 

脚本 星川清司

 

原作 新選組始末記―新選組三部作 (中公文庫)

 

出演 市川雷蔵/若山富三郎/天知茂/松本錦四郎/伊達三郎/木村玄/千石泰三/堂本寛/田崎潤/須賀不二男/藤村志保

 

新撰組始末記

新選組始末記 - Wikipedia

- YouTube

 

 

登場する人物

山崎烝/近藤勇/土方歳三/沖田総司/山南敬助/永倉新八/藤堂平助/原田左之助/芹沢鴨/新見錦

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com