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「スノー・ロワイヤル」 2019

スノー・ロワイヤル(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 息子が無関係な麻薬をめぐる争いに巻き込まれて殺されてしまったことを知り、復讐に乗り出す除雪作業員。

 

 ノルウェー映画「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」の監督自身によるハリウッド・リメイク作品。原題は「Cold Pursuit」。

 

感想

 舞台は、アメリカ・コロラド州デンバー近郊の田舎町。スキー客でにぎわうような雪山なのだが、まずその風景が圧巻だった。まわりは険しい雪山で下界には街の明かりが見え、下から見れば平地の向こうに雪に覆われた巨大な山々がそびえている。どちらからの景色も壮観で、しかもいくつか豪邸が登場するものだから、寒いところは嫌いだが住んでもいいかも、と思えるほどだった。このロケーションだけでも見る価値がある映画かもしれない。

 

 息子が麻薬組織に殺されたことを知り、復讐を誓う除雪作業員が主人公だ。序盤は次々と関係者を容赦なく殺していくので、怒りに燃えて躊躇なく相手を倒していく無慈悲な痛快アクションかと思っていたのだが、どうも様子がおかしい。次第にコミカル臭が漂い出す。

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 それまでも、ちょくちょくと変な間や奇妙な瞬間があってスルーしていたのだが、あれも笑わそうとしていたのだな、とようやく気付いた。大笑いできるようなギャグではなく、ふふふ、と笑ってしまうようなタイプのオフビートな笑いが詰め込まれたコメディ映画だった。やがては勘違いした組織が他の組織を攻撃し、麻薬組織同士の抗争も勃発してしまって、どんどんと大ごとになっていくのだが、終始とぼけた雰囲気が漂っている。

 

 

 それなりに面白いし、雰囲気も悪くなく、好きなテイストではあるのだが、でもこれ、主人公が自分の息子を殺されたことが発端だよね、と考えてしまうと、どうにも純粋には楽しめなかった。別に主人公がふざけているわけではなく、単に状況が可笑しかったりするだけなので関係ないと言えばないのだが、それでも我が子を殺された主人公のことを思うとあまり笑う気分にはなれなかった。せめてこの物語のきっかけが、息子が殺された、ではなく、騙されたとか怪我させられたくらいだったら良かった。

 

 そのせいなのか、あまり主人公の悲しみは描かれず、逆に一連の事件の最中に息子を殺されてしまったネイティブ・インディアンの男の悲しみばかりが伝わってくる。最後は息子を殺された者同士が肩を並べて、という流れは上手かったが、いまいち気分が乗れない映画だった。決して悪くない映画だとは思うのだが。

 

スタッフ/キャスト

監督 ハンス・ペテル・モランド

 

原作 ファイティング・ダディ 怒りの除雪車(字幕版)

 

出演 リーアム・ニーソン/トム・ベイトマン/トム・ジャクソン/エミー・ロッサム/ドメニク・ランバルドッツィ/ジュリア・ジョーンズ/ジョン・ドーマン/ローラ・ダーン/ウィリアム・フォーサイス/ベンジャミン・ホリングスワース

 

スノー・ロワイヤル(字幕版)

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スノー・ロワイヤル - Wikipedia

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