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「スプリング・ブレイカーズ」 2013

スプリング・ブレイカーズ

★★★★☆

 

あらすじ

 春休みをフロリダで過ごす女子大生4人組は、羽目を外し過ぎて逮捕されてしまうが謎の男に助けられる。

 

感想

 パーティ三昧のバカな女子大生の4人組が、浮かれすぎて羽目を外してしまい、堕落して悲惨な目に遭う物語かと思ったがそんな事はなかった。監督は、若者たちが若さゆえにパワーを持て余し、それを発散するためにバカ騒ぎすること自体は賛美しているように見える。時に愚行に走ることもあるが、自らの感情に素直であるならそれはそれで美しい事と言っているかのようだ。現に主演の4人の女子大生は、ただ欲望に忠実なだけで、決して意に沿わないことはやらない意志の強さを持っている。同じように欲望の塊の男子が大勢いる中で、自分の意志を貫いて流されずにいる事は、後悔しない青春時代を送るためには必要な事だろう。

 

 しかしそうなってくるとこの映画で最大の謎は、なぜジェームズ・ブランコ演じる麻薬売人の男は捕まった彼女たちを助けたのか?という事だ。てっきり若い彼女たちを騙し、いかがわしい世界で働かせて搾取するつもりなのかと思っていたのだが、そんな素振りはなくただ好きにさせているだけ。ただ友達が欲しかったという事なのだろうか。若い女性をまわりにたくさん侍らしたいというのは分かるが、一緒に危険な仕事をするのなら普通に男の仲間でいいのでは?と思ってしまった。この手の暴力的な仕事は女性にはリスクが高いし、腕力的にもあまり役に立たない。彼は彼女たちを新しい世界へ誘う何か天使的な存在だったという事か。

 

 

 そしてそんな見るからにヤバそうな雰囲気の男に力で従わされているように思えた女子大生二人が、形勢逆転して逆に手玉に取り、男を弄ぶシーンはぞくぞくした。危険に近づかないようにするのではなくあえて飛び込み、機を見て主導権を手に入れる。大胆でしたたかでカッコ良すぎだ。クライマックスでもなぜか無敵の強さを見せている。男がいなくなった以上、ほぼ彼女たちが戦う理由はないはずなのに、それでも作戦を中止せずそのまま続行する。根性が座っていて、まるでマフィア映画を観ているかのようだった。

 

 同じ映像やセリフが前後して何度も繰り返されたり、イメージ的な映像があったりと、まるで映像のコラージュを見ているような気分になる映画。最初は煽情的にしか見えなかった冒頭のパーティーシーンも、途中で何度か繰り返し登場するのだが、状況の変化と共にそのイメージが変化していくのが面白い。最初は楽しげだったが、やがて空虚に見えたり悲しく見えたり。過去の思い出なんて、案外その後の状況によっていくらでも印象が変わってしまうものだ。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 ハーモニー・コリン

 

出演 セレーナ・ゴメス/ヴァネッサ・ハジェンズ/アシュレイ・ベンソン/レイチェル・コリン/ジェームズ・フランコ/グッチ・メイン/ヘザー・モリス

 

音楽 クリフ・マルティネス/スクリレックス

 

スプリング・ブレイカーズ

スプリング・ブレイカーズ

  • ジェームズ・フランコ
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スプリング・ブレイカーズ - Wikipedia

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