★★★☆☆
あらすじ
群馬の実家のこんにゃく屋で働く27歳の女は、埼玉から来たラッパーに触発され、高校時代に組んでいたラップグループを再結成しようと動き出す。
山田真歩、安藤サクラら出演、入江悠監督。シリーズ第2作目。96分。
感想
群馬の田舎で暮らす27歳の女が主人公だ。高校時代にやっていたラップグループを再結成することを思い立ち、かつての仲間たちを呼び集める。
明るい将来を夢見ていた女子高生たちも20代後半になり、実家を手伝ったり、家業の借金返済に追われたり、風俗嬢になったりと、キラキラとはほど遠い現実を生きている。再結成するということはそういう事実と向き合うことでもあり、苦いものがある。女子高時代に作ったビッグな夢を語った歌詞も、今では空虚に響く。
多少の戸惑いがありながらも案外あっさりと再結成したラップグループだったが、現実の厳しさに耐えられず、これまたあっさりと空中分解してしまう。そのきっかけとなったのはプールのイベントに呼ばれ、無理やり水着でパフォーマンスさせられたことだったが、今だとアメリカの女性ラッパーがノリノリでやってるよねと思ってしまった。10年早かったということか。
それに一曲?歌っただけで15万円も貰えるならアリだなとも思ってしまったが、彼女たちからすれば、この歳でそれはキツいということなのだろう。特に田舎だと世間体も気になる。
ラッパーの、というよりも、地方都市に住む20代後半の女たちの苦悩を描いた物語となっている。もはや夢を見ることは難しく、それを叶える気力もない。ただ生活に打ちのめされている。
そんな彼女たちの心の声を露わにする、魂のラップがクライマックスだ。前作同様、そんなところでラップを始めちゃう?みたいな場所が舞台だったが、いったん寒さを乗り越えないとカッコ良さはやって来ない、日本語ラップのハードルの高さを表しているようでもあった。
ただ主人公のラップは、歌詞もスタイルも日本人らしさがあって悪くない。小学生ぽくもあるが、いろんな人がいろんなラップをすることで、日本語ラップのいろんな可能性が見えてくるのだろう。ラップにはどんなものでも個性として受け入れてくれる包容力があるのがいいところだ。主人公の父親が「いつまで学園祭気分で遊んでいるのだ」と小言を言っていたが、逆に「日常」としてラップを続けていけばいいのかもしれない。
前作の主人公は要所要所で登場する。だが知らない人が見たら、彼はラップの神様?と勘違いしてしまいそうな振る舞いをしているのが可笑しい。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 入江悠
出演 山田真歩/安藤サクラ/桜井ふみ/増田くみ/加藤真弓/駒木根隆介/水澤紳吾/岩松了/上鈴木伯周/永岡佑
音楽 岩崎太整
SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム - Wikipedia
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