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「洲崎パラダイス赤信号」 1956

洲崎パラダイス 赤信号

 

★★★★☆

 

あらすじ

 金も行く先もなくなった男女が、売春街「洲崎パラダイス」の目と鼻の先にある居酒屋にたどり着く。

 

感想

 その日を暮らす金も寝る場所もない男女。そんな状況になってもただ女に「どうする?」と聞くだけの男が情けない。ただただ女についていくだけだ。女の必死の頑張りでなんとか居酒屋で寝泊まりできるようになっても、そこの女将さんには無愛想。仕事を紹介してもらっても、その勤め先でも無愛想。不貞腐れているというか、偉そうというかぶすっとした顔のままだ。

 

 なんの義理もないのにそんな男に仕事を探してやり、女には住み込みで働かせる居酒屋の女将さんの人の良さが印象的だ。この人情味は、彼女個人のものか場所柄か、それとも時代的なものか。夫に逃げられ、子どもを抱えながら居酒屋を切り盛りする彼女は、新玉三千代演じる主人公と対をなすような、もう一人の主人公と言える。

 

 

 頼りなかった男に愛想をつかし、店の常連客と引っ付いてしまう主人公。案の定といったところだが、ここから男の執着心が凄かった。そのまま女を探しに行ってしまう。飲まず食わずで、しまいには道で力尽きて倒れてしまうその姿は、ストーカーじみた狂気があって怖かった。そんな情熱をどこに持っていたのかと、ちょっとした驚きだった。

 

 主人公を見つけられなかった男が、このまま勤め先の芦川いづみ演じる店員とくっつくのか、なんだか締まりのない話だなと思っていたが、そうではなかった。結局、男と女の仲なんて分からないものだ、ということか。運命というか、腐れ縁というか。理屈ではない。

 

 そんな男女の仲を描いた物語だ。良く分からないはずなのに、なぜか良く分かってしまう不思議。主人公と男、女将さんと出ていった夫、それぞれが再会した時の、お互いの顔を何となく正視できないような、気まずい時間が流れるどこか落ち着かないシーンが何とも言えず良かった。これだけで、男女の不思議を表現してしまっているようなすごさがある。

 

スタッフ/キャスト

監督 川島雄三

 

原作 洲崎パラダイス (集英社文庫)

 

出演 新珠三千代/轟夕起子/河津清三郎/三橋達也/芦川いづみ/小澤昭一

 

音楽 眞鍋理一郎

 

洲崎パラダイス赤信号 - Wikipedia

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