★★☆☆☆
あらすじ
母の死後、父親からの虐待を受けて育った作家の男は、その体験を綴った作品を発表するが、虚偽があると暴露されたことにより窮地に立たされる。
ジェームズ・フランコ主演、エド・ハリス、アンバー・ハード、ティモシー・シャラメら出演。原題は「The Adderall Diaries」。87分。
感想
父親に虐待された経験を持つ男が主人公だ。その経験を糧に作家として順調にキャリアを築いていたが、死んだことにしていた父が現れ、嘘を暴かれたことで窮地に立たされる。
作家が作品の完成度を高めるために話を盛るのはよくあることだろうし、シンプルに記憶違いをしていることもあるので、それほど驚くこともでもないなと思っていたが、どうやらそれがこの物語の本筋らしい。
過去の記憶を反芻しながら、主人公が父親に怒り、クスリに溺れる様子が描かれていく。細かな記憶の食い違いや書き換えがあることを示唆しつつ進行し、最後の父親との対峙で、彼の記憶の決定的な誤りが明らかになる展開だ。だが、すべてが想定の範囲内で、何の驚きもない。それらを経て、最終的には驚愕の真実へと到達するのかと予想していたので、肩透かしを食らってしまった。
ただ、この映画が描きたかったのは、そんなサスペンスではなかったのかもしれない。人は過去を都合の良いストーリーへと改変しようとするし、主人公が恋人に暴力的振る舞いを求めたように、それを強化しようともする。しかし、過去なんて立場が変われば見方が変わってしまうこともあるものだ。
そんなあやふやなものにこだわっていた主人公が、自身の過ちに気付き、父との関係性も含めた人生への向き合い方を改めて、成長していくヒューマンドラマを目指していた可能性もある。しかし、そこにも大したドラマはなかった。恋人や友人との関係に見るべきものは特になく、彼が興味を示した殺人容疑のプログラマーのエピソードも、本筋とどのように関連するのか、そのつながりを示す描写も弱すぎて見えてこない。
想像できる範囲内、それもかなり容易なレベル内で物語は進行していく。そこから飛躍するものが何もなく、目を引く展開が見えてこないものだから、結局この物語の肝が何だったのか、さっぱり分からないまま終わってしまった。起承転結の「転」がない映画だ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 パメラ・ロマノウスキー
原作 The Adderall Diaries: A Memoir of Moods, Masochism, and Murder (English Edition)
製作/出演 ジェームズ・フランコ
製作総指揮
レオ・キーリー/ビル・キーリー/ライアン・ドーフ
出演 エド・ハリス/アンバー・ハード/クリスチャン・スレーター/ティモシー・シャラメ/シンシア・ニクソン/アダム・ルフェーヴル/マイケル・クリストファー/ウィルマー・バルデラマ
サスペクツ・ダイアリー すり替えられた記憶 - Wikipedia
