★★★☆☆
あらすじ
森の中の小さな湖に浮かぶ山寺で、師匠の和尚と共に暮らす少年。
キム・ギドク監督。韓国映画。103分。
感想
湖に浮かぶ山寺で暮らす師匠と少年を描く物語だ。舟がなければどこにも行けない寺の設定自体が浮世離れしているが、幻想的な世界観が見事に映像で表現されている。
そして、湖のほとりや寺の中に「どこでもドア」のような壁の無い扉が単独で設置されているのも気になる。舞台劇で見られるような演出なのか、韓国では実際にそんな建築文化があるのか。とにかくメタファーに満ちた映画だ。
タイトル通り、季節ごとの彼らの生活ぶりが順番に描かれていく。単純に山寺の一年を描写するのかと思っていたので、夏になると少年が青年に成長していたのは驚いた。人生を四季になぞらえてもいる。ということは秋は初老ぐらいになのかと思っていたら、今度は想像していたよりも全然若くて、これまた驚いた。毎回、予想通りに進行することがなくて飽きさせない。
春は少年の罪、夏は青年の欲望とわかりやすい展開だったが、秋冬と進むにつれて話は入り組んでくる。若い頃はシンプルでみんな似たり寄ったりだが、歳を重ねれば重ねるほど、それぞれの人生は千差万別となり、複雑になっていくということなのだろう。そして予期せぬような人生を送って中年になったとしても、幼い頃に背負ったカルマからは逃れられないという終盤の展開は深みがあった。
ゆったりとしたテンポで、ほとんどセリフもないままに進行していく。ダレてしまいそうなものだが、そんな感じは全く無い。意外な展開や映像的な魅力があるからだろう。また、ネコやニワトリなど季節ごとに違う動物が現れたり、戒律を破って女の寝床に行く時だけ青年がドアを通らなかったりと、それぞれの演出が何を意味してるのかと考察していると、退屈する暇がないというのもある。
人生のいろんな場面を思い起こさせるような、寓話的な映画だ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/編集/出演 キム・ギドク
出演 オ・ヨンス/キム・ジョンホ/ソ・ジェギョン/キム・ヨンミン/ハ・ヨジン/キム・ジョンヨン/チ・デハン/チェ・ミン


