★★★☆☆
あらすじ
地元の偉人、伊能忠敬を大河ドラマでやってもらおうと動き始めた市役所職員は、地図が完成した時にはすでに彼が死んでいたことを知る。
立川志の輔の創作落語が原作。中井貴一主演、北川景子、松山ケンイチら出演。112分。
感想
地元の偉人、伊能忠敬の大河ドラマ化を目指す市役所職員の物語だ。だがこの設定自体に色々と疑問がある。まずNHKの大河ドラマの企画をなぜ市役所職員が作るのだろうか。各地で地元の偉人の大河ドラマ化を要望する運動があるのは知っているが、企画書まで作るのは違和感がある。
また主人公は、市の職員なのになぜか知事の命を受けて動いている。県庁と市役所は別組織なのだから、市の職員は知事に従う必要はないはずだ。大河ドラマも県と市の関係も詳しいことは分からないので、もしかしたら間違っていないのかもしれないが気になった。
それからドラマなど作ったことのない主人公になぜ任せるのだ?というのもある。これは割とどこの会社でもありがちなことだが、たまたまその場にいただけの未経験の素人に仕事をやらせる意味が分からない。こういう非効率なことをやっているから生産性が上がらないのだろう。プロを雇うとか、やりようはいくらでもある。
主人公は企画を進める中で、伊能忠敬が地図完成前に死んでいたことを知る。そして彼の死から完成までの間に何があったのか、それを描く時代劇が始まる。
実はすでに死んでいたというエピソード自体は興味深いが、この時代劇部分にはあまり面白みがない。地図を描いているか、測量しているか、伊能忠敬不在の言い訳をしているかのどれかが繰り返し描かれるだけで、ワンパターンな印象になっている。彼の死を疑う西村まさ彦演じる武士とのやり取りが多少アクセントになっている程度だった。
しかも伊能忠敬ではなく、名もなき協力者たちを描きたかったと言っているわりには、数人を除くとほぼ存在感がない。そのせいか、クライマックスの将軍へのお披露目も心に迫るものはなかった。
終盤は現代劇に戻るが、ここで将軍と知事を対比させる描き方はどうなのだろう。封建制度のトップと民主主義のリーダーは全く違うものだ。ただでさえ総理や知事をおらが村の殿様みたいに無条件で崇める人が多いのに、ますます勘違いしてしまう人が増えそうだ。
それから重箱の隅をつつくようで申し訳がないが、最後に主人公が駅前の伊能忠敬像を感慨深げに見上げるシーンでは、読めないくらいにかすれた酷い道路標示にばかり目が行ってしまった。大河ドラマも良いけど、公務員としてまずやらなければいけないことがあるよねと説教したくなった(県道のようだが)。
道路標示が薄い場所が多い。事故防止のためにも何とかならないか?【NEXT特捜隊】|静岡新聞DIGITAL 静岡県のニュース
スタッフ/キャスト
監督 中西健二
脚本 森下佳子
原作 大河への道 (河出文庫)
出演
北川景子/岸井ゆきの/和田正人/田中美央/溝口琢矢/立川志の輔/西村まさ彦/平田満/草刈正雄/橋爪功
音楽 安川午朗
