★★★☆☆
あらすじ
昏睡状態に陥った連続殺人犯の精神世界に入り、拉致した女性の監禁場所を聞き出すように依頼された心理学者の女性。
感想
主人公が犯人の精神世界に入り込み、事件の真相を探る少し変わったシリアルキラーものだが、主人公である心理学者の女性が事件の真相を追及する気がゼロなのがすごい。事件の切迫した状況など意に介さず、学者・医者として犯人の精神世界を観察することに夢中になってしまっている。
しかも彼女が犯人の精神世界に飲み込まれ、現実世界に戻ってこれなくなってしまった時に、救出に向かうことになったのがこの療法のど素人のFBI捜査官で、なんでお前が?とコントみたいになっていた。しかもみんながいたって真面目で、当然のような顔をしているのが可笑しかった。
おそらくこの映画は物語の内容はたいして重視しておらず、異常者の精神世界をどう映像で表現し、どう魅せるかに注力している。想像の世界なのでどのように描こうか自由で、下手すると陳腐な映像になってしまいそうだが、ちゃんと見応えのある映像に仕上がっているのはさすがだ。
こちらの知識不足で全然気づかなかったが、様々な芸術作品のモチーフが用いられているようだ。この監督は、R.EM.の「Losing My Religion」のミュージックビデオを撮った人で、たしかになんとなく雰囲気は似ており、そのエッセンスがある。
そしてこのアートな映像に、当時全盛期のジェニファー・ロペスがバキバキなファッションでキメて登場するのだからパワーがある。しかしそんな恰好をして現れるなんて彼女はどんなセルフイメージを持っているのだ?と問い詰めたくなるが、それは野暮というものだろう。
ど素人のFBI捜査官は簡単に事件解決のヒントを見つけて現実世界に戻っていくし、主人公はそんなことお構いなしで犯人の治療に没頭してしまうしで、話の方向性はぐちゃぐちゃだ。最後も主人公とFBI捜査官が互いの絆を確かめ合ってうまく話がまとまった感じにしていたが、二人がそんなに絆を深めていたようにも思えない。物語を求めてしまうとアレなのだが、アート映画として見るなら悪くない。ジェニファー・ロペス好きも気に入るはずだ。
スタッフ/キャスト
監督 ターセム・シン
出演 ジェニファー・ロペス/ヴィンス・ヴォーン/ヴィンセント・ドノフリオ/マリアンヌ・ジャン=バプティスト/ジェイク・ウェバー/ディラン・ベイカー/ジェームズ・ギャモン/ディーン・ノリス/プルイット・テイラー・ヴィンス/パトリック・ボーショー
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