★★★★☆
あらすじ
旧知の男が殺され、彼が追っていた事件の真相を弟と共に追うことになった凄腕のスナイパーで会計士の男。
ベン・アフレック主演のシリーズ第2作。原題は「The Accountant 2」。124分。
感想
自閉症で天才的な計算能力を持ち、射撃の能力も抜群の会計士が主人公のシリーズ第2弾だ。序盤で、出会い系アプリをハックするも現実では惨敗してしまう主人公がいきなり描かれるが、主人公の孤独を浮かび上がらせた前作とは違い、今作ではコミカルな要素が増えている。
主人公は、旧知の男が何かの捜査中に殺されたことを知り、それを知らせた彼の元部下の女性と共に、追っていた事件を引き継ぐことになる。一つの手がかりからまた次の手がかりが見つかり、それを手繰り寄せていくうちに事件の真相が徐々に浮かび上がってくるサスペンスだ。
今回はあまり主人公の会計士としての側面が描かれることはない。だが、聞き込みに行ったピザ屋で業を煮やした主人公が突然暴力を振るい、会計上の不審点を指摘し始めたシーンは面白かった。こういうことは頭に血が上ってやってしまうものなのに、次から次と適格な数字を上げてツッコんでいて、とても冷静だ。
そして主人公の捜査には、前回も登場した殺し屋の弟も加わることになる。どちらも裏社会の凄腕の男で、冷静に考えるとすごい兄弟のコンビだ。彼らのコンプライアンスをまったく無視した行動に、殺された男の元部下である公務員の女性があたふたしているのも可笑しい。そして微妙な関係だった兄弟が、行動を共にするうちに心通わせるようになるのはほっこりする。
旧知の男が殺された冒頭の銃撃戦以降は、派手なアクションはほとんどないまま展開するが、程よく明らかになっていく真相が気になって飽きさせない。トボけた笑いが随所に散りばめられているのも良いアクセントだ。緊張感を保ったまま終盤に突入し、迎えるクライマックスの銃撃戦は気分が盛り上がった。
途中で敵ボスがこんな死に方は嫌だと呟いていたり、猫が何気なく登場していたりと、細かな伏線がしっかりと配置されたよく出来たプロットだ。ストレスなく楽しむことが出来た。また、前作で人と関わろうとするようになった孤独な主人公が更に一歩踏み出し、継続的な人間関係を築こうとしており、主人公の成長物語としての側面もある。
主人公のキャラに加えて、殺し屋の弟と財務省の女役人、それにネットを駆使して国家権力をも凌駕する情報収集能力を見せる自閉症の子供たちと、さらにシリーズが続きそうな設定は出来上がっている。後は面白い本筋を用意できるかどうかにかかっていそうだ。
スタッフ/キャスト
監督/製作総指揮 ギャビン・オコナー
脚本 ビル・ドゥビューク
製作/出演 ベン・アフレック
製作総指揮 スコット・ラステティ/ジェイミー・パトリコフ/マット・デイモン/マイケル・ジョー/ケビン・ハローラン/ダニ・バーンフェルド/アリソン・ウィンター
出演 ジョン・バーンサル/シンシア・アダイ=ロビンソン/ダニエラ・ピネダ/アリソン・ロバートソン/ロバート・モーガン/J・K・シモンズ/グラント・ハーベイ/アンドリュー・ハワード/ロンバルド・ボイヤー/マイケル・トゥーレック
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