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「ザ・シークレットマン」 2017

ザ・シークレットマン(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 ニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件。その情報提供者「ディープスロート」を描いた物語。

ウォーターゲート事件 - Wikipedia

 

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 原題は「Mark Felt: The Man Who Brought Down the White House」。

 

感想

 初代長官フーヴァーが死去し、盤石だったFBIの屋台骨が揺らいでいた時期に起きた事件。手も足も出なかったFBIの弱体化を狙う動きがある中で、大統領の不正を明らかにしようと奮闘する主人公の姿が描かれていく。

 

 だがまずその前に、フーヴァーが死ぬまでFBI長官だったという事に驚いた。彼が要人たちの弱みを握り、絶大なる権力持っていたというのは知っていたが、退任することなく死ぬまで50年近くも君臨していたなんて、本当に天皇のようだったということか。

ジョン・エドガー・フーヴァー - Wikipedia

 

 リーアム・ニーソン主演と言うことで期待してしまいがちなアクションシーンは全くなく、静かに淡々と展開していく。そして、FBIやホワイトハウス、他の省庁、マスコミとたくさんの関連人物が登場し、正直、何が起きているのか分かりづらい部分があった。

 

 ただ、これは世界的にも有名な事件を題材にしているわけだから、ある程度は皆が知っているという前提で作られているのだろう。物語を十分に堪能したければ、事前にこの事件のあらましやアメリカの各政府組織の立ち位置や関係性を知っておいた方が良さそうだ。

 

 主人公が、長年勤めてきた組織に対する愛着と、不正を握りつぶそうとする大統領への義憤を胸に秘めながらも、それを表に出さずあくまでも冷静に振舞う姿がクールだ。いちいち感情を表に出すような人間だったら、FBIのNo2まで昇りつめる事などできないのだろう。そしてそれだけでなく、当然次は自分だと思っていた長官のポジションを他人に奪われた腹立ちもあったはずだ。

 

 それに彼も、もはや過去のものとしなければいけない不法な捜査手段を使ってしまうような、アップデートできないマインドを持っていて、必ずしも聖人君子として描かれていないのもリアリティがあった。

 

 

 見ていて思うのは、時の政権に忖度しないのは主人公だけではなく、他にもたくさんいるのだなという事だ。CIAの人物が語った「政権はいつか終わるが、我々の組織は不滅だ」という言葉は印象的だった。いつか終わる政権の共犯者となって自分たちの身を危うくするなんて馬鹿げている。それに、忖度している人たちですら、最終的には正直に真実を打ち明けている。

 

 とんでもない事件が起きたとしても、こうして正義に則って無事に解決され、そして民主主義はほんのわずかだが改善されてより良くなった、と思えるのは羨ましい。日本もいつかこうなれるのだろうか?と遠い目をしてしまった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作 ピーター・ランデズマン

 

原作 Mark Felt: The Man Who Brought Down the White House (English Edition)


製作

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ジャンニーナ・スコット/マーク・バタン/アンソニー・カタガス/スティーヴ・リチャーズ/ジェイ・ローチ

 

出演 リーアム・ニーソン/ダイアン・レイン/マートン・チョーカシュ/アイク・バリンホルツ/トニー・ゴールドウィン/ブルース・グリーンウッド/マイケル・C・ホール/ブライアン・ダーシー・ジェームズ/ジョシュ・ルーカス/エディ・マーサン/ウェンディ・マクレンドン=コーヴィ/マイカ・モンロー/ケイト・ウォルシュ/トム・サイズモア/ジュリアン・モリス/ノア・ワイリー

 

ザ・シークレットマン(字幕版)

ザ・シークレットマン(字幕版)

  • 発売日: 2018/09/05
  • メディア: Prime Video
 

ザ・シークレットマン - Wikipedia

ザ・シークレットマン 【字幕版】 | 映画 | 無料動画GYAO!

 

 

登場する人物

マーク・フェルト/ジョン・ディーン/ボブ・ウッドワード

 

 

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