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「ティル」 2022

ティル

★★★★☆

 

あらすじ

 シカゴで暮らす黒人女性は、一族のルーツを知るためにミシシッピ州の親戚を訪れた14歳の息子が、白人にリンチされ殺されたことを知らされる。

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 公民権運動に影響を与えた「エメット・ティル殺害事件」(1955年)を題材にした、事実を基にした作品。130分。

エメット・ティル - Wikipedia

 

感想

 冒頭は母親である主人公と息子の幸せな時間が描かれる。あまりの満たされぶりに彼らは黒人の富裕層なのかと思っていたら、主人公はタイピストとして働く、いわゆる中産階級だった。肌の色関係なく、こういう層が増えると豊かな国だと感じるようになるのだろう。日本もかつてはそうだった。

 

 そんな家庭で育った主人公の息子は、陽気で無邪気だ。南部を訪れることになった息子を心配し、差別や偏見にあわないようにと母親が色々と注意しているのに、本人はあまり真剣に受け取っていない。つまり彼らの住むシカゴでは差別や偏見を経験していないということで、この時代でもそうだったのかとちょっと驚いた。全米でまんべんなく差別が横行しているのかと思っていたが、北と南では全然違ったということか。

 

 南部のミシシッピ州でもシカゴのように陽気に振る舞った息子は、ふとしたことで白人を驚かせ、怒らせてしまう。それでもあまり意に介していなかったのは、いかにも世間知らずの都会っ子といった感じだった。まったく深刻さを理解しないまま、ある日突然拉致され、リンチをされて殺されてしまう。彼が見ていた優しい世界が、こんな形で崩れ去ったのかと思うとやりきれないものがある。

 

 

 

 これを「郷に入っては郷に従え」などとしたり顔で少年を非難する現代人は多そうだが、彼の肌の色が違っていれば同じことは起きなかったのだから、甘んじて差別を受けろと言うのは筋違いだろう。それにたとえ文化の違いで誤解が生じたとしても、リンチして殺していいわけがない。どう考えても責められるべきは理不尽な加害者たちだ。リンチで元の姿が分からないほどに変わり果てた遺体は、目を覆いたくなるほど痛ましかった。

 

 最悪の事態に、主人公はせめて息子のために出来ることはやろうと動き始める。最初はただ打ちひしがれるだけだった彼女が、まず裁判で戦い、やがては黒人社会のために戦うようになっていく。演じるダニエル・テッドワイラーが、主人公の心境が変化していく様子を見事に演じている。母親だから息子のことは分かる、と高らかに主張するシーンには胸を打たれた。

 

 ある日突然に被害者遺族となり、やがては同じ悲劇を繰り返さないよう、社会のために活動するようになる。そんな人が、主人公だけでなく、世の中にはたくさんいることに、素直に敬意を表したくなる。

 

 主人公も事件がなければ、黒人差別に無関心な黒人として幸せな一生を送っていたのだろう。まさかこんな人生になるとは思っていなかったはずだ。世界はこういう皆のために戦う人がいるおかげで、多くの人が何も考えずに幸せに暮らせるようになってきた。それにただ乗りするだけならまだしも、冷笑を浴びせるようなことはしたくないものだ。

 

 裁判結果もそうだったが、エンディング後にテロップで知らされた実際の加害者のその後にも愕然とさせられた。謝罪動画で金儲けをするYouTuberみたいだ。だが裁判をやって、形式的にではあるが、ちゃんとした手続きを行っているだけましかなと、それ以下の国に住んでいる人は低レベルにも思うのかもしれない。

自民 旧安倍派の国会議員など65人を不起訴 東京地検特捜部 | NHK | 政治資金

 

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作総指揮 シノニエ・チュクウ

 

脚本/製作 マイケル・レイリー/キース・ボーチャンプ

 

製作/出演 ウーピー・ゴールドバーグ

 

出演 ダニエル・デッドワイラー/ジェイリン・ホール/フランキー・フェイソン/ヘイリー・ベネットヘイリー・ベネット/フランキー・フェイソン/トシン・コール

 

ティル

ティル

  • Danielle Deadwyler
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ティル (映画) - Wikipedia

 

 

登場する人物

メイミー・ティル/エメット・ティル/メドガー・エヴァース

 

 

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