BookCites

個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「運命のボタン」 2009

運命のボタン (字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 ある日突然、謎のボタンが家の前に置かれ、知らない男からある提案を持ちかけられた夫婦。原題は「The Box」。

 

感想

 謎の男が突然やって来て、このボタンを押せば100万ドル上げます、ただしあなたの知らない誰かがどこかで死んでしまいます、という提案を受けた夫婦。提案自体も唐突で怪しいが、一番の疑問は提案した男がそれをするメリットは何なのかという事だ。本当にお金をくれるのかという疑いに対しては信ぴょう性を担保するような描写はあるのだが、その疑問に答えてくれるような描写はなくて若干モヤモヤした。クリスマスだから分かるでしょ、サンタクロース的なやつですよ、という事なのかもしれないが。ちなみにこの提案を受けた時の、主人公を演じるキャメロン・ディアスのなんとも言えないすごい表情はちょっと笑ってしまった。

 

 そして戸惑い悩みながらも、映画的に勿論ボタンを押してしまう主人公たち。しかしその後から色々と不可思議な事が起こるようになる。お金も貰って謎の男の提案の件はもう終了したのだから、その後に色々あるのはなんだか納得がいかないが、その後何もあるとは言っていないですよね、というごはん論法的なやつなのか。夫婦がボタンを押したことを悔いて、色々と真相を探ろうとしたのもいけなかったのだろう。もし大金を手にして喜んでいるだけだったら、何も起きなかったのかもしれない。主人公の親族が、結婚パーティーのリハーサルなのに豪勢にやっていたのは、もしかしたらそのうちの誰かが主人公と同じ提案を受けて大金を手に入れ、罪悪感なく豪勢にやっているというという事なのかなと思ったりした。

 

 

 夫婦はそれぞれ別行動で真相を探ろうとする。不可思議で難解な描写が多かったが、よく分からないなりにもそれなりに楽しめていたのだが、終盤で謎の男が大体のあらましを説明してしまって、だいぶ興醒めしてしまった。そこは意味深で思わせぶりなまま最後までいって欲しかった。解釈の余地があり、その謎解きを楽しむ、という事も出来なくなった。主人公たち夫婦は、想定外の反応を見せて相手を一瞬おっ⁉と思わせたが、結局は相手の思惑通りのその他大勢と同じ動きを見せて失望させてしまったという事だろう。そして、また同じことがどこかで繰り返される。

 

 原作は短編で、この物語はあまり長々と説明したり意味づけをしたりせずに、たくさんの余白を残しつつサッと短く描く方が不思議な余韻が残って良いように思えた。「世にも奇妙な物語」でやっても良さそうで、一度「トワイライトゾーン」でも映像化されたことがあるようだ。そう考えると長編でやろうとしたこと自体がすでに間違っていたのかなと思ったりした。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作 リチャード・ケリー

 

原作 運命のボタン (ハヤカワ文庫NV)


出演 キャメロン・ディアス/ジェームズ・マースデン/フランク・ランジェラ/ジェームズ・レブホーン/セリア・ウェストン/デボラ・ラッシュ

 

音楽 ウィン・バトラー/レジーヌ・シャサーニュ/オーウェン・パレット/ 

 

運命のボタン (字幕版)

運命のボタン (字幕版)

  • キャメロン・ディアス
Amazon

運命のボタン - Wikipedia

運命のボタン | 映画 | 無料動画GYAO!

 

 

登場する作品

「出口なし」 「サルトル全集 第8巻 恭しき娼婦」所収

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com