★★★★☆
あらすじ
海辺の別荘で休暇を過ごしていた一家は、ある夜不気味な集団が窓の外にいるのを目撃する。116分。
感想
別荘で休暇を過ごす一家が、何者かに襲われるホラー映画だ。人里離れた場所で襲われるのはよくあるパターンだが、襲うのが自分の分身のようなよく似た人物であるのが独特だ。彼らはうまく言葉を喋れなかったり、ひどい怪我の跡があったりする。
別荘を持ち、ノリでボートも買えてしまうような恵まれた一家だが、もしかしたら彼らが分身のようになっていたかもしれないことを暗示しているのだろう。生まれた場所が違ったり、事故などの不運に見舞われたらあり得る話だ。また、彼らのような人々から搾取しているから豊かな生活が出来ているとも言える。色々と示唆に富む設定だ。
何を考えているか分からず、鋭いハサミを持って襲い来る彼らはベタに恐くて、シンプルにホラー映画として楽しめる。一家が彼らと戦う様子も、しっかりと伏線が張られているので心地よい。それぞれが自分の分身を倒す構図になっているのも分かりやすく、ストレスがない。
そしてただ怖いだけでなく、随所にユーモアも散りばめられている。スマートスピーカーで警察を呼ぼうとしたら警察を腐す軽快な曲をかけられたり、「ホームアローン」的に対処しようと皆で議論したりと、思わず笑ってしまうシーンも多い。ほどよく緊張感を緩めてくれる。
ただ、必要以上に攻撃を加えたり、何人倒したかで皆で張り合ったりと、笑えるのだけれど怖くもあるようなダークなシーンもある。こうやって人は普通の感覚を失い、麻痺していくのだろう。
彼ら一家だけでなく世界中で同様のことが起きていることが分かり、ますます訳が分からなくなっていく展開の真相が明らかになる終盤は、急に説明が多くなって、佳境にも関わらず少し冷めてしまうところがあった。だがそれがあってのラストの驚きの展開は、もうひと盛り上がりとなって満足させてくれた。
ただ怖いだけでなく、笑わせてもくれるし考えさせてもくれる。深みのあるホラー映画だ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作 ジョーダン・ピール
出演 ルピタ・ニョンゴ/ウィンストン・デューク/エリザベス・モス/ティム・ハイデッカー/ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世/カーラ・ヘイワード
音楽 マイケル・エイブルズ


