★★★☆☆
あらすじ
キャリアウーマンとして活躍する女は、同棲している恋人が名前を偽っていたことを知る。
長澤まさみ、高橋一生、吉田鋼太郎ら出演。117分。
感想
同棲相手が身元を偽っていたことを知った女が主人公だ。嘘をつかれていたことに怒りを覚えるも、本当は誰なのかが気になり始め、探偵に依頼して正体を探ろうとする。
明るみになった秘密に封印された暗い過去、それを探る旅と、どこか松本清張的な匂いを感じる物語だ。何日もかけて追っていた手がかりが意味のないものだった、となる展開は意外性がある。そして、徒労感に沈んでいたところに新たな手掛かりが飛び込んで、一気に視界が広がる急展開ぶりも落差があって良い。
ただ、いろいろと引っ掛かる点は多い。探偵事務所で恋人の情報を壁一面に貼りだしていたが、守秘義務は守れるの?とか、主人公が偶然再会した恋人を家に連れ込んで同棲を迫るシーンは気色悪いとか、身元不明の恋人に対してなぜ警察は素っ気ないのか?犯罪性はないと判断したのか、免許偽造は犯罪ではないのか?とか、気になることがあちこちで出てくる。
真実を知るのが怖くなり、調査の動きが鈍くなった主人公に、探偵が怒鳴りつけるシーンも意味が分からない。それは探偵の仕事で、主人公は依頼者なのに、怒られるのは理不尽だ。とはいえ、善意でやっていただけなのにそれが当然のようになり、逆に「早くやれよ、何でやらないの?」みたいな空気を出されることは、現実世界でよくある。
そして、ついに主人公の封印された過去が明らかになる。確かに重い出来事ではあるが、思っていたよりはかなり普通だった。運が悪かったとか、世の中が悪いとしか言いようのないような、もっと入り組んだ事件が待ち受けていると身構えていただけに、拍子抜けしてしまう部分はあった。
過去が明らかになったことで、新たに疑問も出てくる。恋人はなぜ名前を偽ったのだろうか。親類がいないのだとしたら探す人はいないはずで、わざわざ名前を変える必要はない。ただ、ネットで検索して誰かに過去の事件がバレるのを恐れた可能性はあるかもしれない。
また、主人公とのこれからを考えるようになったのなら、なぜ医者として働かなかったのだろうか。単純にトラウマだからか、現状はそれで問題ないからなのか、それとも別に理由があるのか。将来を見据えているのなら、下手な小説なんて書いてる場合ではないような気がするが、そのあたりの納得できる説明は欲しかった。
恋人の正体を探る過程は楽しめるし、感動のラストも雰囲気と演技で目頭が熱くなるしで、ダレることなく見られるのだが、期待感を上回ることは出来ず、満足感よりも不満を多く感じる映画だ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 中江和仁
脚本 近藤希実
出演 長澤まさみ/高橋一生/吉田鋼太郎/DAIGO/川栄李奈/野波麻帆/嶋田久作/奥貫薫
音楽 富貴晴美

