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「ウソはホントの恋のはじまり」 2013

ウソはホントの恋のはじまり

★★★☆☆

 

あらすじ

 なかなか書けない小説家の男は、気になる女性のSNSを見て得た情報をもとに、彼女好みの男のふりをして近づき、やがて付き合い始める。原題は「A Case of You」。

 

感想

 気になる女性の趣味嗜好をネットでリサーチし、彼女の理想の男性になりきることで恋仲になることに成功した男の話。しかし最近は何でも検索で済んでしまう。昔なら、あれ知ってる?とか、彼女はどんな人?とかの話題でしばらく会話が続いたものだが、今なら二言目には「そんなに気になるならググってみれば?」なんて言葉が出てきて、そこで会話が終わってしまう。現実世界の会話が減り、皆がネットに閉じこもるようになってしまうのも分かるような気がした。

 

 序盤は気になる女性に声をかけることも出来なかった主人公が、彼女好みの男になり切るために必死に努力する姿が描かれる。好きな小説から料理、ギター、柔道まで、彼女がSNSで好きだと言及していたものなら何でも貪欲に学びに行く姿勢には、素直に感心してしまう。これぞ恋の力だろう。

 

 

 ただそんな積極的な男なのに、いざ彼女と付き合うようになったら不安で怯えてばかりいるのにはモヤモヤした。彼女の好きな自分は本当の自分じゃない、だから本当の自分の姿がバレてしまったら嫌われてしまうのではないかと恐れているのだろうが、いくらなんでもビビり過ぎだろう。情報収集が滞ってネタ切れになり、デートで彼女をどこに連れて行けばいいのか分からずオロオロしたり、挙句の果てには彼女の愛情表現にイラついてしまったりと、かなりの自信のなさを露呈している。

 

 そんな主人公に段々とストレスを感じるようになっていたのだが、彼女との関係をモチーフに主人公が書いていた小説に対する出版社幹部の痛烈な批評が、それらを一気に吹き飛ばしてくれた。そのまま映画が終わっていたら、その後に立ち寄る喫茶店でぶちまけていそうな批判をすべて代わりに言ってくれている。このシーンのおかげでモヤモヤしていた気分は晴れ、かなりすっきりした。爽快な気分になる展開だ。

 

 おそらく前半は観客が主人公の行動に不満を持つのは計算のうちで、そこは笑いで中和させつつ後半までつなぐつもりだったのだろう。だがその笑いの部分があまりうまくいっていなかった。主人公のおどおどとした自信なさげな雰囲気が、場を常に変な空気にしてしまっていて、逆に笑いどころが分かりづらくなってしまっている。ここがうまくいっていれば、悪くない恋愛映画に仕上がっていただけに残念だ。

 

スタッフ/キャスト

監督 カット・コイロ

 

脚本/製作/出演 ジャスティン・ロング/キーア・オドネル

 

製作総指揮    クリスチャン・ロング/カシアン・エルウィズ/ロバート・オグデン・バーナム/ジェシカ・ニューマン/ラティ・グロブマン/ブライス・サンダーフォード/マイケル・ベナローヤ/クリスタ・キャンベル

 

出演 エヴァン・レイチェル・ウッド/ビジー・フィリップス/サム・ロックウェル/シエナ・ミラー/ブレンダン・フレイザー/ヴィンス・ヴォーン/ピーター・ディンクレイジ/ミズオ・ペック/スコット・アツィット

 

音楽 マテオ・メッシーナ

 

ウソはホントの恋のはじまり

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