★★☆☆☆
あらすじ
新人作家の女は、自分を酷評した大御所作家に仕返しを目論む。
のん主演、滝藤賢一、田中圭ら出演。柚木麻子の同名小説を堤幸彦監督が映画化。98分。
感想
駆け出しの女性作家が主人公だ。序盤で主人公は、自分を酷評した大御所作家に復讐を仕掛ける。メインの目的が仕返しなのか、原稿を落とさせて自分の小説を載せるチャンスを得ようとしたのか曖昧ではあるが、ここでの彼女の行動はまだ理解できる。だがこの後からがいけなかった。
次に主人公は、文学賞の受賞パーティで大御所作家とばったり再会するのだが、この時の彼女の行動は、慌てて誤魔化そうとしていたのか、さらなる復讐をしようとしていたのか、どちらなのかよく分からなかった。彼女がなんのために奮闘しているのかが不明なので、ただでさえ上滑り意味のコミカルシーンがますます冷え切ったものになっている。
その後のクリスマスのシーンも何をしようとしていたのかよくわからないし、本屋でのシーンも何を描こうとしていたのかよくわからない。
わからないことだらけになってしまっている理由は、主人公のキャラクターがちゃんと確立していないからなのだろう。彼女の行動の源泉が見えない。売れたいのか、復讐をしたいのか、彼女を突き動かしている最大のものがなんなのかがはっきりと示されていないので、その場その場で衝動的に動く意味不明のヤバい人に見えてしまう。
ときおり主人公が見せるロックというか、パンクな一面は良かったが、突発的にではなく、それが常に感じられるようなキャラであれば、ストーリーに納得感が出ていたはずだ。作家として絶対に売れたい、世の中なんかムカつく、私を酷評した奴は許さない等、様々な感情が渦巻く強烈な野望や反骨心を内に秘めた新人女性作家の、不器用で歪んだ日常をコミカルに描きたかったのだろうなと、終盤になんとなく気付いてきた。だが残念ながら完全に失敗している。
それから主人公だけでなく、担当の大御所作家に平然と嘘をつく田中圭演じる編集者のキャラもよく分からなくて、ますます物語を混乱させる要因の一つになっている。途中からもはやコメディかどうかすらもよくわからなくなって、ただ奇特な人たちの言動を真顔で眺めるだけの時間と化していた。
スタッフ/キャスト
監督 堤幸彦
脚本 川尻恵太
出演 のん/田中圭/滝藤賢一/田中みな実/服部樹咲/髙石あかり/橋本愛/橘ケンチ(EXILE)/光石研/若村麻由美
音楽 野崎良太(Jazztronik)
