★★★★☆
あらすじ
識字障害を抱える娘のために、何もしてくれない学校を改革する運動を始めた母親。
感想
識字障害の娘のために何もしてくれない学校に我慢できず、必死に転校先を探す主人公。仕方ないとあきらめてしまいそうな状況なのに、明らかに間違っている現状を絶対にそのままにしておけないという揺らぎない決意に感動する。自分も含めて、皆がこんな風に妥協をしなければ、ダメな学校も会社も政府もすぐになくなるのだが。
うまくいかない娘の転校の運動中に、保護者が学校を改革できるペアレント・トリガー法というのを知った主人公は、同じような境遇の教師と協力して学校改革のための運動に転じる。保護者の賛同や教師たちの理解を得るためにいくつもの難関を乗り越えていく。
観ていて思うのは自分の子供のために、という保護者による教育改革は難しそうだ、ということ。地道な運動を続けて少しずつ改革していくやり方だと、目的を果たしたとしても、肝心の自分の子供はとっくに成人してしまっていて、結局意味がなくなってしまう。だから、社会のためという大きな視点がないと、時間の経過と共に挫折してしまう可能性が高くなりそうだ。
それを防ぐためには、この映画のようにスピード勝負に出ること。ただ、それだとそんなの無理だと懐疑的になる人が増えてしまう。だから、こういう事を成し遂げられるのは、主人公の様な無茶で無計画なポジティブな人間なのだろう。あとはどれだけまわりがサポートできるか、ということになる。
主人公の言いたいことは言うが、相手を嫌な気分にさせないような愛嬌というのは、きっと天性のものだ。そして、そんな彼女をしっかりサポートする教師。たくさんの賛同者がいるのに、なんでいつも二人だけでやっているの?と思わなくもないが、そんな二人を演じるマギー・ジレンホールとヴィオラ・ディヴィスが良い演技を見せている。
彼女たちに最終的に立ちはだかるのは、教職員の労働組合。労働組合は外部に敵がいるときは心強いが、内部の変革を求める時には厄介な存在になってしまう。しかし、金持ちになりたくて教師になる人間なんていないだろうから、反対する人間がいるのかと思ったが、安定を求めて教師になる人間はいるから変化を恐れて反対する人間はいるのか。保守と改革で分裂するのは、どの世界でもいつも起きる事だ。
最後は、粋な展開で彼女たちの願いが叶うのだが、こういうことが出来るのは、ちゃんと責任者が責任を自覚し、何かあれば責任を取る覚悟がちゃんとあるからだ。日本だったら、たとえ責任者が共感していたとしても、責任を取ることを恐れ、何も起きないまま白けた雰囲気で終了するのが関の山だろう。そう考えるとちょっと悲しくなる。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 ダニエル・バーンズ
出演 マギー・ジレンホール/ヴィオラ・デイヴィス/ホリー・ハンター/オスカー・アイザック/ロージー・ペレス/ヴィング・レイムス/ランス・レディック/ビル・ナン/エミリー・アリン・リンド/ネッド・アイゼンバーグ
ウォント・バック・ダウン -ママたちの学校戦争- - Wikipedia
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