★★★★☆
あらすじ
70年代後半のアメリカ。田舎にやってきた一行は、老夫婦に離れを借りて、ポルノ映画の撮影を開始する。
三部作の第1作目。105分。
感想
ポルノ映画を撮影する一行が次々と襲われていく。ホラー映画でよくある無軌道な若者が狙われるパターンを分かりやすくした形だ。死の恐怖を効果的に表現するには、死のことなど全く考えていない無邪気な若者を襲うのが一番だ、ということなのだろう。ポルノなんてまさに生の象徴みたいなものだ。
そんな彼らを襲うのは離れを貸した老夫婦だ。夫婦、特に妻には若さへの強い羨望と妬みが滲み出ている。そこには、自分たちだってそんな時代があったのに今はそうではない、という悲しみも感じられる。そして、当然のように枯れた老人として扱ってくる周囲に腹を立てている。
序盤は撮影の様子を描きつつ、いやな予感が高まるような不穏なシーンがいくつも続いていく。中でも、主人公が川で全裸で浮かぶ様子を真上から俯瞰でとらえたショットは印象に残った。川の真ん中で浮かぶ彼女に、画面の端からゆっくりとワニが近づいてくる。それに彼女は気づかないまま、絶妙のタイミングで難を逃れる。
思わせぶりなだけでなかなか本格的なホラーが始まらないことに少々焦れてきた頃に、監督の恋人で録音を担当していた少女が、自分も出演したいと言い出して、別の意味での恐怖を味わうことになったのには思わず笑ってしまった。この映画ではこの手の恐怖も散りばめられていて、良いスパイスになっている。
そしてようやく本格的な殺戮が始まる。皆がそれぞれ違ったパターンで趣向を凝らして殺されていくので面白い。特に農具で殺されるまでの一連のシーンは良く出来ていた。しかし、なんで彼らは裸足で外を歩くのだ、靴を履けよと言いたくなる場面がいくつもあった。彼らからすれば日本人が家で靴を脱ぐのは不思議かもしれないが、それと同じくらい不思議だ。単純に彼らは家の中と外を区別していないだけなのだろう。俺も日本人みたいに家で靴を脱ぐんだよと言う外国人は、大抵靴を履かずに外に出ていく。
男たちがほぼ半裸で、若さを見せつけるような格好で当然のように殺されていったのに対して、女性陣はそれなりの抵抗を見せた。延々と流れるテレビからの説教にも、老婆からの呪詛の言葉も、うるさいよとばかりに気にも留めなかったクライマックスの主人公はカッコ良かった。
だが主人公と老婆を同じ女優が演じていることからも、老婆は将来の主人公の姿を暗示しているのかもしれない。あるいは倒したことでそうはならないと示しているのか。どちらにしても合わせ鏡のような二人だ。誰しもが年を取り、若さを失っていく。
若さを羨む老夫婦による凶行を描いているが、この老夫婦も同年代には若いと羨まれるのでは?とツッコみたくならなくもない。だが、レトロでオーソドックスな雰囲気の中にも新しさを感じるホラー映画だ。エンディングでの警察官の一言にも思わずニヤリとさせられた。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作/製作 タイ・ウェスト
製作総指揮 キッド・カディ/デニス・カミングス/サム・レヴィンソン/アシュリー・レヴィンソン/カリーナ・マナシル/ピーター・ポーク
出演 ミア・ゴス/ジェナ・オルテガ/マーティン・ヘンダーソン/ブリタニー・スノウ/スコット・メスカディ
音楽 タイラー・ベイツ/チェルシー・ウルフ
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