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「焼肉ドラゴン」 2018

焼肉ドラゴン

★★★☆☆

 

あらすじ

 高度経済成長から取り残されたような集落で、焼肉屋を営む在日朝鮮人一家の日々。

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 大泉洋、真木よう子、井上真央ら出演。鄭義信監督自身による戯曲が原作。126分。

 

感想

 夫婦と一男三女の在日朝鮮人家族が営む焼肉屋を舞台にした物語だ。訪れる客や3人の娘たちとそれぞれ付き合う男たちなど、周辺の人物たちと一家の日々が描かれていく。

 

 基本的にはコミカルだが、憤りや悲しみなど、在日朝鮮人として日本で暮らす彼らの心中にあふれる複雑な思いが、あちこちに滲み出ている。差別や偏見に対する反発とあきらめの気持ちが共存し、時と場合に応じてどちらかが顔を出す。そして、そんな感情豊かな彼らの中で、ただひとり黙々と働き続ける父親の姿は強く印象に残る。

 

 

 主に描かれるのは、 3人の娘たちの男関係のエピソードだ。しかし、本当は長女が好きだとわかっている男と結婚してしまう次女だとか、既婚者と平然と付き合っている三女だとか、前提からしていろいろと問題のある関係ばかりだ。だからその後にいくらドラマチックな展開があったとしても、そもそもが…と思ってしまうところはあった。ただ、そんなことをしてしまうのが人間臭さだ、というのも分からないではない。

 

 また、恋愛に限らずどのエピソードも、どこか心に届き切らないような物足りなさがあるが、それは彼らの生活が実はそれほど見えないからだろう。店の準備中や営業中はいいとして、それ以外はどんな風に暮らしているのかが分からない。家族がどんな風に食事して、どこで寝ているのかが描かれておらず、結婚した次女夫婦がどこで暮らしているのかすらも曖昧だ。

 

 元々、舞台劇であったことが影響しているのかもしれないが、その細部もちゃんと描いてエピソードに厚みを出してほしかった。やや記号的になっている感がある。

 

 寡黙な父親が、立ち退きを迫る市の職員に思いの丈をぶちまける場面や、 三女に結婚を申し込んだ男に自身の過去と家族への想いをとうとうと語るシーンは、目頭が熱くなった。

 

 近くの空港から飛び立つ飛行機の爆音に、やり場のない心の叫びを紛れ込ませ、日々を懸命に生きる一家の物語だ。懸命に生きたところで必ずしも報われるわけではないが、それでも懸命に生きていく。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 鄭義信

 

原作 「焼肉ドラゴン」 所収「鄭義信戯曲集 たとえば野に咲く花のように/焼肉ドラゴン/パーマ屋スミレ

 

出演 真木よう子/井上真央/大泉洋/桜庭ななみ/大谷亮平/ハン・ドンギュ/イム・ヒチョル/大江晋平/宇野祥平/根岸季衣/イ・ジョンウン/キム・サンホ

 

音楽 久米大作

 

焼肉ドラゴン

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  • 真木よう子
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焼肉ドラゴン - Wikipedia

 

 

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