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「江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者」 1976

江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者 [DVD]

★★★☆☆

 

あらすじ

  下宿屋の屋根裏を歩き回り、隣人たちの生活を覗き見る男。

 

感想

 主人公は、面白そうな状況でも途中で覗き見を止めることが出来てしまうくらい、すでにベテラン感が漂う状態で登場する。だがどうせなら、主人公が初めて屋根裏に上がった時から描いて欲しかった。その方が感情移入しやすいし、ドキドキ感が出て序盤の盛り上がりを作れたような気がする。

 

 基本的には日活ロマンポルノなのでそういう場面が多いのだが、途中でなぜか寝苦しそうにしているおじさんの姿を延々と映し出す箇所がある。これは何の時間?誰得なの?と思ってしまったが、原作ではこれがメインと言ってもいい場面だったようだ。このおじさんがどのように殺害されたかを明智小五郎が推理する。だがこの映画では明智小五郎も登場しないし謎解きもないので、おそらくかなりの脚色をしていると思われる。

 

 

 物語は、終盤に謎のボディペインティングを施したりしてわけが分からない感じになっていったが、主人公が特異な性癖を持つ似たような仲間を見つけて盛り上がった、というところだろうか。テンポが悪くメリハリのない展開で、冗長な感じはあったが、関東大震災を絡めたラストは意味深で良かった。天変地異は怖いが、でもどこかでそれを待ち望む気分もある。リセット願望というか。退廃的な人間の末路、といった趣があった。

 

 しかし、隣人たちの生活を覗き見るという発想は誰にでもできるが、そこからストーリーをどう展開させていくかで、凡人とそうでない者の違いがはっきりと見えてくる気がした。普通の人間には覗きからなかなかこんな展開は思いつかない。非凡さというよりは、変態度が試されると言った方がいいのかもしれないが。

 

スタッフ/キャスト

監督 田中登

 

原作 「屋根裏の散歩者」

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出演 宮下順子/石橋蓮司

 

屋根裏の散歩者 - Wikipedia

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