★★★☆☆
あらすじ
互いに好意を持ちつつ、友人として付き合っていた高校生の男女は、卒業後も関係が続いていく。
波留、成田凌、杉咲花ら出演。109分。
感想
一組の男女の30年を描く物語だ。そのうちの3月だけを描くのが特徴で、卒業やひな祭り、東日本大震災などのトピックが取り上げられる。ただ、それが効果的だったかと言えばそうでもなかったような気はする。
彼らの高校時代から物語は始まる。二人に加えて友人の女子も加えた三人の様子が描かれるが、まず彼らの関係が把握できない。互いを認識している程度なのか、友人と呼べるほどの間柄なのか。親密具合が不明なまま進行するので、困惑する。友人の病室を男が見舞うシーンを見て、個人的に訪れるほどなので、かなり仲の良い友だちと言っていいのだろうなとようやく理解したくらいだ。
卒業後は離れ離れになった二人だが、折に触れて再会を繰り返す。しかし、結婚式に呼び合うくらいの仲だったのかとか、東北が舞台だったのかとか、ストーリー自体よりもその前提となる設定にいちいち反応させられるので、本題がスッと頭に入ってこない。
男の結婚式で女の大学時代に何かあったことが示唆され、そのしばらく後に何があったのかが明らかにされる。だが、そういえばそんなこと言っていたなとボンヤリ思うだけで、何があったのだ?と前のめりで知りたい感じにはならなかった。状況の把握に時間を取られないように、あらかじめ高校時代に各種設定はしっかりと描いておくべきだった。
なまじ友人として始まった関係だけに、好意を伝えられずにずるずると時間だけが過ぎる。そして、想いが募ってようやく打ち明けられたと思ったら、相手にはすでに別の相手がいて気持ちはすれ違い、と「友達から始まった恋愛あるある」が展開されていく。もどかしさが伝わればそれでいいのかもしれないが、いささかありきたりだ。
物語の中でバスが何度も登場し、登場人物たちの心情を暗示する。最後は二人が、最初のシーン以来の同じバスに乗ることで結ばれる。だが、映画冒頭の女がバスを強引に停めて乗り込むシーンは、彼女のまっすぐさを表現したかったのかもしれないが、それよりも彼女の自己中心性が露わになったようで、いきなり嫌な感じがした。
彼女は根が善人だからまだいいが、もし悪人だったらまっすぐに悪事を働くわけで、全然いいこととは思えない。世の中のためにと立ち上がった政治家が独裁者になるなんてよくある話なので、善意だって拗らせれば結果的に悪になることもある。
女が熱血教師ぶりを発揮するのがクライマックスだったが、そんな話で終わらせるの?とげんなりした。今どき教師に熱さなんて誰も求めていなくて、今求められているのはやるべきことを当然のようにやる人だろう。熱さはあってもいいが、それはあくまでもオプションだ。
正義を免罪符にやりたい放題やられてもなと困惑する。気に入らない教師を辞めさせようとするのと、乗りたいバスを強引に停めようとするのは、何が違うのだろう。大差ない。
別に間違っている人が幸せになってもいいのだが、もうちょっと考えようよと思ってしまう映画だ。都心の最寄り駅の情報だけで人探しするのもかなり無理があった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 遊川和彦
出演 波瑠/成田凌/杉咲花/岡田健史/小澤征悦/岡本玲/夙川アトム/矢島健一/奥貫薫/橋爪淳
音楽 平井真美子
編集 宮島竜治

